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潰瘍性大腸炎とはどんな病気?簡単にまとめてみた【内視鏡画像あり】

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎とは、大腸の炎症潰瘍(組織の欠損)を引き起こす病気です。下画像は大腸の内視鏡映像ですが、かなり粘膜構造がはがれ落ちています。

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症状には血が混じった下痢、体重減少、発熱、貧血があります。症状は比較的ゆっくりと表れ、軽度から重度まで様々です。合併症として、巨大結腸症(大腸が縮む症状)や肝臓の炎症、大腸癌などを発症します。下画像は大腸に出現した無数のポリープです。これを放っておくと癌化します。

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潰瘍性大腸炎の原因

実は詳しい原因は不明の病気です。免疫系の機能障害、遺伝的要因、腸内細菌の変化、および環境要因が関係していると考えられています。

何にせよ、何かが引き金となってリンパ球(白血球の1種)が大腸に多く侵入することによって過剰な免疫反応が引き起こされます。潰瘍性大腸炎は自己免疫病と言えます。下画像は大腸の粘膜の画像ですが、濃い青で染色されているツブツブが全てリンパ球です。

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クローン病と潰瘍性大腸炎の違い

クローン病も消化器官に炎症を起こす病気です。しかし、潰瘍性大腸炎は大腸のみに炎症が起こりますが、クローン病は消化器官全体に炎症が起こるという点で異なります。

治療方法

食事内容の高タンパク質を中心とすることにより症状が改善されることがあります。また、免疫抑制剤などの薬物療法も有効です。癌などの合併症が発症した場合には手術による大腸の切除が必要になります。

どれくらいの人が罹患しているの?

2015年の時点で、クローン病と合わせて世界で約1,120万人が罹患しています。この病気は北米とヨーロッパでより一般的で、多くの場合、15歳から30歳、または60歳以上の人々が発症します。

日本においては平成25年度の患者数は約16万人であり、毎年5,000人程度増加しています。

再発を繰り返す病気

一度症状が収まっても再発する可能性が大きく、10年間後には25%の割合で再び発症します。

安倍首相の第一次内閣の時も潰瘍性大腸炎で辞職

2006年発足の第一次安倍内閣の際にも、2007年に潰瘍性大腸炎によって安倍首相は総理大臣を辞任しています。その際には「極度のストレス」と報じられました。

今回、2020年8月28日の緊急会見においても、潰瘍性大腸炎が再発したことが報告されました。コロナ禍の中で、相当なストレスがかかっていたことと思います。体調が回復されることを、お祈りいたします。

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