三毛猫とは?
三毛猫とは、X染色体上に存在する毛色の遺伝子がランダムに表現された猫のことを指す。毛色の遺伝子には、茶色にするものと、黒色にするものとがある。
雌個体(XX)では、細胞内ではX染色体のどちらかが不活性化されており、どちらかのX染色体のみが発現している。これは、雄と比べてX染色体の遺伝子産物の量を同等にするためと考えられている。どちらのX染色体が不活性化するかは、全くのランダムによって決定するため、茶色と黒色の毛がモザイク状に表現される。ちなみに、白い部分は常染色体上に存在するS遺伝子の働きによるものである。
X染色体の不活性化
X染色体の不活性化にはメチル化が関与していることがわかっている。不活性化されているX染色体はメチル化しており、クロマチン構造の凝縮が進み、転写が抑制される。初期胚の時点で、どちらのX染色体が不活性化するかは決まっており、その凝縮パターンは細胞分裂しても娘細胞に受け継がれる。
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三毛猫のクローン
何度も述べているように、どちらのX染色体が不活性化するかは、発生初期においてランダムに決まる。よってクローンを作成したとしても、毛の模様が一緒にならない。遺伝的に一致しているのに、表現が異なるこの現象をエピジェネクスと呼ぶ。
オスの三毛猫
全くの余談であるが、オスでも極まれに三毛猫が生まれる。XY染色体では、3色の毛色ができるはずがない。しかし、染色体が重複し、XXYを持つ個体が突変異で生じることがある。この場合、オスでも三毛猫になることができる。