エンカウンターの特徴
エンカウンターとは簡単に言うならば、「ありのままの自分と他者との交流」である。こころとこころが触れあい、本音が語られる交流とも言えよう。
エンカウンターとは真逆の関係性としては「ゲーム」が挙げられる。ゲームとは駆け引きであり、様々な仮面、嘘、建前などを駆使する関係である。ゲームに勝利すること(人間関係を保つこと)が目的化され、そのためには自身を踏みにじることを厭わない。
実際の社会においての人間関係はゲームの要素が強い。現代においては、家庭の人間関係すらゲーム化し、何とか家庭を維持するために家族それぞれが自身を押し殺すような生活すらしていることもある。もちろん、全てが全て本音になってしまったら問題であろう。しかし、本音の交流なくしては、本当の自分に出会うことができないのも確かである。
エンカウンターとは、限られた空間ではあるが本音と本音の関係を味わい、自分がどのような人間であるのかを確認する場でもある。
グループエンカウンターの種類
グループエンカウンターには次の2種類ある。
- 非構成的グループ
- 構成的グループ
非構成的グループとは課題・役割を課せられることがなく、内容も参加者によって決められていくグループである。ファシリテーターではなく、メンバーが中心である。メンバーが何もしようとしなければ、何も起こらない。沈黙すらも許容され、意味があるものとして理解されている。
構成的グループとは、ファシリテーターが中心となって、課題やエクササイズを行うグループである。非構成的グループと比べて、易しいグループと言える。しかし、沈黙の苦痛への葛藤や内的な思いへの気付きが薄いという面において、グループの意味が浅くなる可能性がある。しかし、そのような安易なエクササイズによってお互いに防御的でなくなり、関係が築かれ、本音の関係形成の一助となることもある。
エンカウンターの目的
エンカウンターの目的は次のような言葉で表現される。
ホンネとホンネの交流が持てるようになるための集団体験
この集団体験は、自己の成長に繋がる体験である。人間は子どもの頃は家庭の中で1対1の関係の中で過ごす。この関係においてはありのままの自分で過ごすことができる(場合が多い)。
それが、次第に人間社会の中で集団の関係の中で過ごすようになる。これだけでも成長であるが、この集団の中での生き方については2種類の分類がある。
1つは与えられた役割をこなすだけの「あたりさわりのない」生き方をしているもの。
他は役割に縛られず自分の個性を発揮したいが思うように出来ず、絶えず求道的なもの
グループエンカウンターは役割の中で生きる人間ではなく、ありのままのホンネで生きる人間のためのものである。そのような人間は、人工的なグループの中でホンネの自分を発見し、自己発見を深めていく。これこそがエンカウンターの目的と言えよう。
まとめ
エンカウンターは学校や企業等においては、まるでレクリエーション的な役割のように理解されがちである。しかし、実際は自分が自分として生きることを助けるものであり、人間がより自由となっていくための手段である。