小さいカブトムシ
最近話題となっているのは、小さいカブトムシが増えているということです。その小ささは尋常でなく、最も小さい個体ではわずか3cmほどしかありません。しかし、ミニチュアですが形はカブトムシです。
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なぜ小さくなったの?
カブトムシの体の大きさは幼虫時代の栄養状態で決まります。つまり、十分な栄養(腐葉土)がなかったためです。カブトムシにとって豊富な栄養は、人が作る堆肥や、腐った廃材などでした。最近では人の生活スタイルが変わり、里山で落ち葉堆肥などを作らなくなったので、栄養源が激減したと考えられます。
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カブトムシはもともと小さい?
むしろ逆の視点から見てみると、今までのカブトムシは大きすぎたと考えることもできます。人が人工的に作り出した環境(里山)にうまく適応し、ぐんぐん成長してきました。それは、人が里山を作り始めた数百年の歴史の中の出来事です。それ以前は、堆肥もなく、細々とした栄養で暮らしていたのではないか、それが本当のカブトムシの姿なのではないかとの考え方もあります。
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小さいとどのようなメリットがある?
里山の激減により、樹液を出す木も減りました。クヌギやコナラは定期的に枝を伐採しないと、成長することにエネルギーを使いすぎて樹液を出しません。そのため、体が大きいカブトムシは、十分な樹液を得られず生きていくことができません。小さければ少しの樹液で生きていけます。また、小さいと飛行も容易にできるため、遠くまで樹液を探しにいけます。
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カブトムシの数も減っている
里山を手入れする人が誰もいなくなり、カブトムシの栄養源がなくなっていくにつれ、カブトムシの数も段々と減ってきたと言われています(それでも豊かな里山にはまだたくさんいます)。行き場を無くしたカブトムシは、人が立ち寄らない山奥に戻り、本来の小さい姿でひっそりと暮らしていることでしょう。
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やっぱりさびしい!!
これが自然の摂理・・・と受け止めるべきなのかわかりませんが、王者としてのカブトムシに出会えなくなるのはさびしいです。里山保全運動が各地で展開されているので、ボランティアで参加し、子どもへ豊かな財産を遺していきたいと思っています。
詳しい内容は「カブトムシ 山に帰る」に記載されています。