クローン人間誕生の発表
20002年12月に宗教団体「ラレリアン・ムーブメント」がクローン人間を誕生させたと発表した。同組織は2003年1月には日本人クローン人間を誕生させたと発表している。
しかし、実際には科学的に実証されておらず、誰が親(クローン元)なのかすら発表されていない状況なので、クローン人間であるかどうかはわからない。
最初のクローン・ベビーが誕生した後、その出産の場所と身分を検証したい科学者も一部いたが、「クローンエイド」社は両親が知られることに反対していることを口実に拒否した。二番目のクローン・ベビーの出産の場所と身分も検証が待たれている。実のところ、クローン人間の身分検証はさほど複雑ではなく、クローン・ベビーのDNAがクローン対象となった人のとまったく同じなのかどうかの検証も、一日でできる。しかし、いまのところ、DNA鑑定どころか、二人の赤ちゃんが存在している証拠さえも確認できないのである。そのため、多くの人はこれはペテンにすぎないと思っている。
ラレリアン・ムーブメントの会社「クローンエイド」のHPを見てみると、「クローンを作りませんか」、「戦争に行く息子の細胞・遺伝子の保存」、「卵の提供」などの言葉も書かれており、全てが全て嘘とは言い切れない。しかし、ドリーを作成する時ですら、成功率が非常に低かったため、技術的な難しさがあることも予想される。やろうと思えば不可能ではないが、実際にクローン人間が生まれたのかは不明であると言える。
クローン羊のドリーは266回も失敗しており、ヒトのクローンにはおよそ2000もの卵子と200人あまりの代理母が必要だといわれる。
クローン技術とは
ガードンの実験では、アフリカツメガエルの表皮の細胞の核を、卵細胞(紫外線で核は除去)に挿入したところ、完全な個体を作成することができた。
https://tanner11.wikispaces.com/
同様の実験を哺乳類のヒツジで行ったところ、266回の失敗を経て、クローン羊ドリーを作成することができた。ドリーは通常のヒツジよりも短命であった。
詳しいクローン羊の作り方は以下の通りである。
- 羊(A)の乳腺から乳腺細胞を取り出し、通常の血清濃度の1/20で培養する。このことによって細胞の全能性が復活する。
- 雌羊(B)の子宮から未受精卵を取り出し、核を除去する。
- 未受精卵に、先ほど処理した乳腺細胞を1つだけ挿入し、電気刺激をかけ細胞融合させる。
- 融合した細胞を代理母の雌羊(C)の子宮に移植する。
クローン人間の何が問題か
様々な倫理的問題を引き起こすことが容易に想像できるが、次のサイトでまとめていた問題点を引用させていただきたい。
- 特定の表現形質を持つ人を意図的に作り出すことは、人間の育種(特定の優れた形質の人を生み出す品種改良)につながる。
- 特定の目標達成のために特定の表現形質を持つ人を作り出すことは、生まれてくる人を手段、道具と見なすことにつながる。
- 人の生命の誕生に関する一般的な認識(両性の関与、偶然性の介在等)から逸脱する。
- クローン技術により生み出された人と、男女の関与によって生み出された人との間に差別が生じる可能性がある。
- 生まれてくる人が安全に成長することが保証できない。
遺伝的に同じであっても人格的に同じになるわけではないが、特定の能力や形質を意図的に発現させることは、差別を助長する結果となるだろ。また、遺伝子の多様性という面からみても、特定の遺伝子を持つ人間が人工的に増えるということは不自然であると言える。