7段階のパーソナリティの変化過程
ロジャーズは自身の膨大な録音テープから、パーソナリティの変化について7段階の過程を見いだした(ロージャズ全集4巻より)。
- 自他に対して固く閉ざされている。
- 自分に関係のない外的な話しをする。
- 感情、構成概念および自己に関する象徴的表現が解放されていく。
- 同上
- 感情を体験するということは、直接感じられる指示対象を伴うことで、ぼんやりと感じられているそれをもとに象徴化が行われる。
- 今、現在の感情が直接的に豊かに感じられ、受け入れられ、それに伴って生理的な解放が起こり、自分の内側でのコミニケーションが自由になり、今ここで体験していることが身体で感じられるようになる。
- 同上
自分の感情や感覚がより自分自身へと近づいていく変化であると言うことができよう。
7つのストランズ
また、これらの7段階は次の7つのストランズで起こる。ストランズというのは衣服の素材となる撚り糸(よりいと)のことである。人間の人格構造・精神構造を構成する一つ一つの要素のことをストランズと呼び、ストランズが寄り集まることによって「大きな太い糸」が形成され、本格的な自己成長・人格変容が促進されていくことになる。
1. 感情と個人的意味付け
自分の感情が自覚も表明もされない段階から直接体験した感情の流れを否定することなく、自分の感情と認める段階まで。
2. 体験過程
いまここで体験しつつあることを意識していない段階から、体験の流れの中で自己受容的に生きることができる変化。
3. 不一致
いま体験しつつあることと、その象徴化や他者に伝えることとの間に矛盾があるが気付いていない段階から、一時的でも一致することがある段階へ。
4. 自己の伝達
自己を喜んで伝達しようとする度合いが、防衛的では無く自由に伝達できる段階へ。
5. 体験の解釈
固く動かしがたい段階から、新しい体験に合わせて柔軟に修正される。
6. 問題に対する関係
問題を意識せず変化への欲求が内段階から、問題の形成に責任と役割を感じる段階へ。
7. 関係の仕方
他人との密接な関係は危険だという段間から、自由で解放的な関係を生きることができる段階。
それぞれのストランズにおいて、前述したⅰ~ⅶの段階を経る。ロジャーズはそれぞれのストランズにおける段階がバラバラに進行するのではなく、次第に寄り合わされて一つの糸になるような性質を持つと協調している。
パーソナリティの変化過程と情緒的過程
クライアントは体験過程が高レベルへと変化する際に、激しい情緒的過程を通ることがある。これは、今までの価値観・自己概念を変化させるプロセスが、極めて不安定な精神状態を作り出すためと考えられる。時には、病的な状態に陥ることもある。
このパーソナリティの変化は一人で達成することができるものではなく、激しい情緒的不安定を支えてくれるカウンセラーの存在があってこそのものである。しかし、カウンセラー自身もカウンセリングを通じて様々な感情体験の中にいるのであり、適切に対応するためにはスーパーヴィジョンを受けて訓練する必要がある。