ヘイフリックの限界とは？

ヘイフリック限界（ヘイフリック現象）とは、正常なヒトの細胞には細胞分裂できる回数が決められており限界を迎えると細胞分裂を停止する、という概念です。

ヘイフリックの限界が発見されるまでは、培養中の動物の細胞には無限の複製能力があると考えられていました。

ノーベル賞を受賞した外科医のアレクシスキャレルは、「組織培養の状況下ならば細胞は不死である。細胞分裂が止まるのは細胞を培養するのに最適な方法を知らなかったためである」と述べていました。彼はニワトリの心臓から繊維芽細胞を培養し（通常は5〜10年が培養の限界）、その培養を34年間できた主張しました。

しかし、他の科学者が同様の実験を行っても、長期間の培養を行うことができませんでした。しかし、ノーベル賞受賞者の権威によって、キャレルの説が長い間支持されてきました。

1950年にヘイフリックは注意深く研究を行い、正常な細胞はある回数分裂するとそれ以上分裂しなくなることを発見しました。

キャレルは培養の際にニワトリの血しょうを栄養素として使用していました。ここに別の細胞が混ざっていたことがわかりました。

つまり、キャレルの実験では新しい細胞が絶えず供給され続けていたということです。

染色体の末端にはテロメアという領域が存在します。この領域には繰り返し領域が存在しており、細胞分裂をするたびに短くなってきます。

細胞は、テロメアがある短さ以下になると細胞分裂をしなくなることがわかっています。このテロメアでの細胞分裂回数の調節によって、生物の寿命や「老い」という現象が起こっていると考えられています。