ちょっとディープな生物の世界

棘皮動物の構造と生態

棘皮動物とは

その名が示す通り、元来ウニを対象としてつけられた名称である。しかし、ヒトデナマコウミユリなど、棘をもたない動物も棘皮動物に含まれる。

成体は全て五放射相称三胚葉性、海にのみ生息し、自由生活である。雌雄異体が多く、消化管は口から肛門につながるが、一部の種では肛門が退化している。

五放射相称とは?

中心軸に対して5つの対称面がある構造である。例えば星形は、中心軸に対して左右対称になる線を5本引くことができる。そのような構造を五放射相称と呼ぶ。

https://cacm.acm.org/

棘皮動物の特徴

体内では非常に広大な真体腔(中胚葉に裏打ちされた体腔:下画像の右)を持っている。

http://spider.art.coocan.jp/

血管系の退化傾向が激しく(心臓はない)、また独立した排出系も見られない。血管系の代わりに水管系という構造がある。水管系は体外から海水を取り込んで体内を流すというものである。これは幼生の体腔から発達したもので、体内に伸びて各部から管足という管を体外に伸ばす。これは運動や摂食に関わると同時に、その表面でガス交換や排出も行っている。

https://philschatz.com/

棘皮動物のもう一つの特徴は、体壁に骨片が埋もれており、ウニでは互いに繋がることで棘を形成している。骨片は体表に露出するが、かなりの部分が皮膚の下にあり、内骨格を構成する。

一見柔らかそうに見えるナマコでは、それらは細かな骨片として皮膚内に分散している。 他方で、その発生の初期は後口動物(原口とは異なる部分に口ができる動物)の標準的なものであり、多くの点から我々を含む脊椎動物と系統的に遠いものではないことが伺える。 

ウミユリは棘皮動物

一見、棘皮動物に見えない(何門なのか判別つかない)ウミユリもその構造を見ると、五放射相称であり、棘皮動物であることが分かる。進化的には初期に出現したグループであり、「生きた化石」と呼ばれている。

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