ちょっとディープな生物の世界

海綿動物(側生動物)の構造と生態

側生動物とは

側生動物とは胚葉の分化がない動物のことで、原生する側生動物は海綿動物門だけである。側生動物は肉眼で見える大きさがあり、細胞の分化が見られるという点で、原生動物とは異なっている。

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胚葉とは

胚葉とは多細胞動物の初期胚において、卵割によって形成される多数の細胞が、しだいに規則的に配列してできる、細胞層のことを言う。胞胚への陥入が起こると、胚外側と内側において細胞層の違いが生じ、外胚葉内胚葉に区別できる。また、外胚葉と内胚葉の間に中胚葉が生じ、脊椎動物では顕著な3層構造となる。海綿動物の場合には、この胚葉の分化が起こらない。

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海綿動物とは

世界中のあらゆる海や淡水に生息する極めて原始的な多細胞生物である。多細胞生物であるが、細胞間の結合はゆるく、はっきりとした器官等の分化は見られない。細かい網目状の海綿質繊維からなる骨格はスポンジとして化粧用や沐浴用に用いられる。

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海綿動物を使った実験:同類認識

カイメンを使った有名な実験として、バラバラにしたカイメンの細胞を放置しておくと、同じ種の細胞同士が結合し合う、というものがある。また、別種のカイメンの細胞を混ぜて同様の実験を行なうと、同種の細胞同士が結合した。この実験においては、細胞レベルにおいて同種かどうかを見極める能力を持っていることを証明した。

この事実は20世紀初めにH. V. Wilsonにより見つけられた。その後、20世紀末になって、カイメンは細胞どうしが糖鎖と糖鎖、糖鎖とタンパク質の相互作用によって結合して、1つの個体となっていることが明らかになった。この細胞接着に関わるタンパク質はカドヘリンと呼ばれており、様々な種類が見つかっている。

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海綿動物の構造

海綿動物の体内の体壁には襟細胞が存在し、襟細胞の鞭毛運動によって小孔から海水を取り入れて大孔へと排出している。口や肛門、消化管といったものはなく、体内の空洞は胃腔と呼ばれる。循環器官(心臓、血管)や神経細胞等ももちろん無い。

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海綿動物の生殖方法

生殖は無性生殖と有性生殖の双方を行う。無性生殖として体表から芽が成長して繁殖するほか、芽球と呼ばれる芽を放出して増殖することもできる。

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有性生殖も多様であり、雌雄同体と雌雄異体の双方の種がある。多くの種では受精後、幼生になるまでは親の体内で育つ胎生であるが、卵生の種も存在する。

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海綿動物はえり鞭毛虫から進化した

海綿動物は原生生物であるえり鞭毛虫(単細胞生物)が集合したものであると考えられており、動物の系統樹の中で最も原始的な多細胞生物であると位置づけられている。えり鞭毛虫は襟細胞と非常に似た構造をしている。

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