マラリアの病原体とは?
全世界ではマラリアに年間1.98億人が感染し、うち58.4万人が死亡している病気である。マラリアは、マラリア原虫と呼ばれる単細胞生物(真核生物)によって引き起こされる。
マラリア原虫は、蚊の体内で有性生殖を行い、増殖したマラリア原虫は唾液腺に集合し、蚊がヒトの血液を吸う際にヒト体内に侵入する。その後、肝細胞で増殖し、個体数が数千になった段階で赤血球に侵入する。下画像の小さな紫色の点が赤血球に侵入したマラリア原虫である。大きな紫色の丸は白血球である。
鎌状赤血球とは?
ヘモグロビン遺伝子の1塩基が置換突然変異を起こすことによって引き起こされる赤血球の鎌状への形態変化を鎌状赤血球症と呼ぶ。
アミノ酸が1つ異なるだけであるが、この変化によってユニットの疎水領域が露出する。そして、疎水領域同士が結合し、ヘモグロビンが繊維状となる。繊維状のヘモグロビンによって赤血球が細長く伸ばされ、鎌状となる。ヘモグロビン分子が互いに凝集しているため、酸素と結合しづらくなり、酸素運搬能力は著しく低下する。
なぜ鎌状赤血球はマラリア耐性を持つのか
鎌状赤血球の遺伝子はホモになると、重大な酸欠を引き起こす致死遺伝子であるが、ヘテロであると、マラリア耐性を持つことが知られている。そのため、ヘモグロビンの変異は致命的であるにも拘らず、アフリカでは鎌状赤血球の遺伝子は保存され続けてきた。
http://www.biken.osaka-u.ac.jp/
なぜ鎌状赤血球がマラリア耐性を持つのかについては、しっかりと説明しているサイトは少なかった。以下に参考となるような記事を引用する。
鎌型赤血球は形が文字通り鎌状であるために、毛細血管などではつまりやすく、赤血球に穴があいて、中のカリウムイオンが外に飛び出してしまいます。カリウムイオンは、原虫が生育するために不可欠な物質ですから、カリウムがなくなると、鎌型赤血球の中に入り込んだ原虫は成虫になれずに死んでしまいます。ですから、鎌型赤血球は自己破壊するとともに、中の原虫も殺すことができるわけです。そのため、マラリア原虫の増殖が遅れ、マラリアに対して抵抗性を示すことができるようになるのです。
マラリア原虫は鎌状赤血球には生息しにくいという特徴があります。それはカリウムイオンが関係しています。正常赤血球ではカリウムイオンが十分存在し、マラリア原虫にとって都合が良く赤血球内に生息できます。鎌状赤血球ではカリウムイオンが外に漏れだし、マラリア原虫は生息しにくい環境となります。
マラリア原虫に感染すると赤血球のpHが低下することにより、赤血球の鎌状化が進む。鎌状化した赤血球は脾臓で除去され、また、鎌状化した赤血球によりマラリア原虫は機械的に壊される。
マラリア原虫は赤血球内に侵入するが、赤血球が鎌状に変形するとつぶされて死んでしまう。
Z会参考書:生物 知識の焦点 p162
正直、どれが正しいかはよくわからないが、鎌状赤血球があることにより、マラリアが繁殖しにくい理由があることは確かである。それは、カリウムイオンが原因なのか、pHの低下による鎌状化が原因なのか、押しつぶすことが原因なのかは、議論がありそうである。
へログロビンに一箇所なってますよ。
わかりやすくていつも参考にしてます♬
ご指摘いただきありがとうございました。訂正いたしました。
今後ともよろしくお願いいたします。