第2問 問1
「配偶子形成」の記述として、最も適当なものを選べ。
- 被子植物の助細胞と反足細胞に含まれるDNAは、重複受精によって次の世代に伝えられる。
- 動物の精子の鞭毛の基部は、ゴルジ体が取り囲んでいる。
- 被子植物の卵細胞には動物の卵と同じように卵黄がある。
- 被子植物の雄原細胞は、花粉管核の分裂によって生じる。
- 動物の精子は、精原細胞の体細胞分裂によって生じる。
- 被子植物の花粉母細胞は、減数分裂によって花粉四分子となる。
問1 解答&解説
解答6
1:×重複受精するのは、中央細胞と卵細胞である。
2:×精子にゴルジ体は存在しない。基部にはミトコンドリアが詰まっている。
3:×植物の卵細胞には卵黄はない。
4:×花粉四分子のうちの1つが、体細胞分裂し、雄原細胞と花粉管細胞となる。
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5:×精原細胞が体細胞分裂したのは、一次精母細胞である。その後、減数分裂を経て、精子となる。
6:〇その通り。
第2問 問2-1
動物と植物において、雄性配偶子が雌性配偶子に誘因されることは共通している。植物・動物の両方で、雄性配偶子誘因について次のような実験を行った。
実験1
被子植物の花粉管誘因に関わる細胞を調べるため、レーザー光線で胚のう内の細胞を死滅させ、誘引の結果を調べた。
胚のうの種類 | 死滅させた細胞 | 花粉管誘因 |
未受精の胚のう | なし | あり |
卵細胞 | あり | |
中央細胞 | あり | |
助細胞1つ | あり | |
助細胞2つ | なし | |
受精後の胚のう | なし | なし |
実験1の結果から、考察として適当なものを次から選べ
誘引に必要な細胞 | 受精後の活性の変化 | |
1 | 卵細胞 | 失われる |
2 | 卵細胞 | 失われない |
3 | 助細胞 | 失われる |
4 | 助細胞 | 失われない |
5 | 中央細胞 | 失われる |
6 | 中央細胞 | 失われない |
問2-1 解答&解説
解答:3
実験1の結果から、助細胞が誘引に関わっていることが考察できる。また受精後は精子の誘引活性がなくなることも結果から読み取れるので、3が正解となる。
第2問 問2-2
無脊椎動物のホヤの卵細胞は、テスト細胞、ろほう細胞に包まれている。それぞれ組み合わせを変えて、取り出し、精子誘引の結果を調べた。
組み合わせ | 精子の誘引 |
テスト細胞、未授精の卵細胞 | あり |
ろほう細胞、未授精の卵細胞 | あり |
テスト細胞、ろほう細胞 | なし |
テスト細胞、ろほう細胞、受精卵 | なし |
実験1の結果から、考察として適当なものを次から選べ
誘引に必要な細胞 | 受精後の活性の変化 | |
1 | 卵細胞 | 失われる |
2 | 卵細胞 | 失われない |
3 | テスト細胞 | 失われる |
4 | テスト細胞 | 失われない |
5 | ろほう細胞 | 失われる |
6 | ろほう細胞 | 失われない |
問2-2 解答&解説
解答:1
実験結果から、未受精卵がある時のみ誘引が起こることがわかる。受精卵は誘引しないことも結果からわかるので、1が正解。
第2問 問3
動物の発生は、段階的に特有の構造が出現し、発生が進んでいく。イモリの発生に関して、次から最も適当なものを選べ。
- 卵割腔→灰色三日月環→神経管→脊索→角膜→水晶体
- 卵割腔→灰色三日月環→神経管→脊索→水晶体→角膜
- 卵割腔→灰色三日月環→脊索→神経管→角膜→水晶体
- 卵割腔→灰色三日月環→脊索→神経管→水晶体→角膜
- 灰色三日月環→卵割腔→神経管→脊索→角膜→水晶体
- 灰色三日月環→卵割腔→神経管→脊索→水晶体→角膜
- 灰色三日月環→卵割腔→脊索→神経管→角膜→水晶体
- 灰色三日月環→卵割腔→脊索→神経管→水晶体→角膜
問3 解答&解説
解答:8
灰色三日月環は受精した直後に生じる。その後卵割が進み、中胚葉から脊索ができ、外胚葉を神経管に誘導する。神経管はその後、表皮を水晶体へと誘導し、水晶体は表皮を角膜へと誘導する。
第2問 問4
ショウジョウバエの頭部と胸部の境界は、タンパク質Xの濃度によって決められている。タンパク質XをコードするRNAの量を半分、または2倍にすると、頭部と胸部の境界の位置が変わることが知られている。タンパク質Xを指定するRNAの量を、半分、2倍に変化させたとき、境界は、どのように動くか。
RNA量を半分 | RNA量を2倍 | |
1 | 後方に動く | 後方に動く |
2 | 後方に動く | 前方に動く |
3 | 前方に動く | 後方に動く |
4 | 前方に動く | 前方に動く |
問4 解答&解説
解答:3
タンパク質Xは頭部と胸部の境界を決定するとあるため、頭部からの濃度勾配によって境界を作用していることがわかる。つまり、濃度が高ければ、頭部になり、低ければ胸部になる。よってRNA量が半分だと頭部が小さくなり、RNA量を2倍だと頭部が大きくなる。
第2問 問5
問4の問題に関連して、タンパク質Xは卵形成時に母親の遺伝情報によって、卵に蓄えられることが知られている。タンパク質Xをコードする遺伝子と、正常にコードしない異常な対立遺伝子のヘテロ接合体では、正常な遺伝子をホモに持つ個体と比べて、タンパク質XをコードするRNA量が半分になる。また、タンパク質Xをコードする遺伝子を持たない個体は、原腸胚まで発生が進むが、その後死んでしまう。ヘテロ接合体のオスとヘテロ接合体のメスを交配して得られたメスと、異常を生じている対立遺伝子のホモ接合体の雄を交配した。生じた次世代の原腸胚の「異常」と「正常」の分離比はどうなるか。異常:正常で答えよ。
問5 解答&解説
解答: 異常:正常=3:1
「ヘテロ接合体のオスとヘテロ接合体のメスを交配して得られたメス」の遺伝子型を明らかにする。正常にコードする遺伝子をA、異常な対立遺伝子をA’とすると次のようになる。
AA’×AA’→AA:AA’:A’A’=1:2:1
異常、正常は母親の遺伝子によって形成されるため、生じた子の遺伝子型がそのまま次世代の「異常」:「正常」の比率となる。よって、異常(AA’、A’A’):正常(AA)=3:1。