第1問 問1
動物の体は、DNAなどの核酸や、糖類、タンパク質、脂質から構成されている。これら有機物は炭素によって構成されているが、使われる炭素は植物の光合成によって固定されたものが由来である。また、核酸やタンパク質には多量に窒素が含まれ、それらの窒素は微生物の窒素固定、植物の窒素同化によって合成された窒素化合物に由来している。
「タンパク質」についての記述として最も適当なものを下記から1つ選べ。
- アミノ酸同士がペプチド結合する際は、アミノ基とカルボキシ基から二酸化炭素分子が1つ放出される。
- タンパク質を熱変性させると、タンパク質の一次構造が破壊される。
- ジスルフィド結合(S-S結合)は、1本のポリペプチド鎖内での結合であり、他のポリペプチド間とは形成されない。
- タンパク質の立体構造が変化しても、タンパク質の機能は変わらない。
- ある種のタンパク質には、金属原子が埋め込まれて、その機能を発揮するものがある。
問1 解答&解説
解答:5
1:×水分子が取れる。
2:×タンパク質の一次構造はめったに壊れることがなく、熱変性では2次構造以上が壊れる。
3:×チオール(-SH)を持つアミノ酸同士ならば、どこでも形成する結合である。
4:×立体構造が変化すると、酵素の活性などが失われる。
5:〇ヘモグロビンは鉄原子が埋め込まれて初めて機能を獲得する。
第1問 問2
光化学系Ⅱから放出された電子は、電子伝達系を経て、光化学系Ⅰに渡され、最終的に【A】が合成される。光化学系Ⅱのクロロフィルが還元される際には、水分子が酸素と【B】に分解される。電子伝達系の反応経路を通る際には、ストロマ側の【B】が、チラコイドの内側へと輸送される。すると、チラコイド内には【B】が蓄積されていき、ある酵素を通ってストロマ側に移動する際に、【C】が合成される。これらの光化学反応によって合成された【A】や【C】は、二酸化炭素を固定する反応回路で使われる。
【A】、【B】、【C】にあてはまる最も適当なものを次から選べ。
【A】 | 【B】 | 【C】 | |
1 | NADPH | H+ | ATP |
2 | NADP+ | NADPH | ATP |
3 | ATP | NADPH | H+ |
4 | NADPH | ATP | H+ |
5 | NADP+ | ATP | NADPH |
6 | ATP | H+ | NADPH |
問1 解答&解説
解答:1
光化学系Ⅰで合成されるのは、NADPHである。電子伝達系では、水素イオンがチラコイド内に移送され、その濃度勾配を使って、ATPが合成される。
第1問 問3
窒素固定、窒素同化について、最も適当なものを下から1つ選べ。
- 窒素固定細菌は、植物と共生する形でのみ窒素固定を行い、単独では行わない。
- 窒素固定細菌は、窒素化合物から、他の窒素化合物を合成する。
- 植物が根から吸収するアンモニウムイオンは、硝酸菌の働きによって合成されたものである。
- 植物の窒素同化では、グルタミン酸とアンモニウムイオンから、グルタミンが合成される。
- 動物は、硝酸イオンに含まれる窒素から、自身のアミノ酸などを合成する。
問3 解答&解説
解答:4
1:×植物と共生するのは根粒菌ぐらいで、他は単独で窒素固定を行う。
2:×空気中の窒素N2から窒素化合物を合成する。窒素化合物から合成するのではない。
3:×硝酸菌はアンモニウムイオンを硝酸イオンに変える働きを持つ。
4:〇グルタミン酸がアンモニウムイオンを受け取ってグルタミンとなる。
5:×硝酸イオンからは合成できないが、必須アミノ酸ではないアミノ酸はアンモニウムイオンなどを用いて体内でも合成できる。
第1問 問4
DNAの塩基配列によって生命は遺伝情報を保存している。DNAに保持されている遺伝情報が発現するためには、DNAの塩基配列がRNAの塩基配列に写し取られる転写が必要である。また、細胞分裂の際にはDNAの複製も行われる。これらの仕組みは、大腸菌を用いて研究が行われてきた。
「転写」に関して、次の文章に最も適切なものを選べ。
オペロン説によると、大腸菌は【A】存在下においては、リプレッサーが【B】に結合し、RNAポリメラーゼがプロモーターに結合できず、転写が起こらない。一方、【A】がなくなり、【C】のみが存在する条件では、リプレッサーが【D】ことによって、RNAポリメラーゼが機能するようになる。結果、構造遺伝子群が転写される。
【A】 | 【B】 | 【C】 | 【D】 | |
1 | ラクトース | プロモーター | グルコース | 分解される |
2 | ラクトース | プロモーター | グルコース | 結合部位から離れる |
3 | ラクトース | オペレーター | グルコース | 分解される |
4 | ラクトース | オペレーター | グルコース | 結合部位から離れる |
5 | グルコース | プロモーター | ラクトース | 分解される |
6 | グルコース | プロモーター | ラクトース | 結合部位から離れる |
7 | グルコース | オペレーター | ラクトース | 分解される |
8 | グルコース | オペレーター | ラクトース | 結合部位から離れる |
問4 解答&解説
解答:8
原核生物の転写調節の仕組みは、真核生物のそれとは異なるから、しっかり押さえておこう。
http://dnainfo.wikispaces.com/
第1問 問5
「DNAの複製」に関して次の問に答えよ。
大腸菌のDNAは、環状DNAである。複製に際しては、複製起点と呼ばれる箇所からリーディング鎖とラギング鎖を両方向に合成していく。大腸菌の複製起点は1つしかない。大腸菌の塩基対は450万であり、DNAポリメラーゼは1秒あたり1500ヌクレオチドの速度で合成できる。大腸菌のDNA複製には何分かかるか。
問5 解答&解説
解答:25分
1つの複製起点から両側に複製が進むので、1秒あたり3000ヌクレオチドを合成できる。全塩基対数は450万なので、次のように計算できる。
4,500,000÷3000=15,00秒
15,00秒÷60秒=25分
センター試験の生物の勉強方法のことでお聞きしたいことがあり、書き込ませていただきます。
ほかのページだで紹介されていた、生物入門機構の問題集はきっちり介して覚えたことを前提として!でも、センター六割はいけるような、内容になっていますでしょうか?
お忙しいのは存じますが
宜しくお願いします
ごめんなさい;w;見過ごしていました。
生物入門精講は、良問が多いですが、問題数がそこまで多くない気がします。また、難易度も少しあり、中々前に進む感じがしません。
それよりも、全体を幅広く、基本的知識を網羅できる簡単な問題集を買って、その後、センターの赤本でもやってみた方が良いかもしれません。