生命活動の中心は核
細胞の中心は核であり、核に含まれているDNAのデータを基にしてタンパク質を合成している。核なしでは、酵素も作れず、体の材料であるタンパク質も作れない。つまり、生命活動は、核を中心として細胞質との相互作用によって成り立っていると言える。
カサノリの再生実験
カサノリは単細胞生物であるが、全長が5cmほどになる生物である。かさと柄と仮根に分かれており、核は仮根に1つだけ存在する。カサノリを用いて次のような実験を行った。
実験手順・結果
- かさと仮根を切り取り柄だけを培養すると、1度目はかさが再生した。その後またかさを切断すると、かさは再生しなかった。
- 柄とかさを切り取って仮根だけを培養すると、柄もかさも再生することができた。
- B種の仮根に、A種の柄を結合させると、B種のかさを再生した。
結論
上記の実験からは、A種の柄を結合させても、B種のかさを再生したということから、かさの情報は仮根(B種)にあったと考えらえる。つまり、核がかさの形を決定させる要因となっていることが明らかになった。
アメーバの切断実験
また、アメーバを切断したところ、核がある方は生きて分裂を始め、核がない方が死んだ。このことから、核が分裂や生命維持に関わる役割があることが明らかとなった。
核の構造
核は2重の核膜によって包まれている。核膜内には染色体と1~数個の核小体がある。それ以外は核液(核質)によって満たされている。核質は粘度の高い液体で、DNA複製に必要な材料や、その他の活動に必要な酵素を多量に含んでいる。
核膜が二重なのは、原核生物からの進化の過程で、DNAが細胞膜に包み込まれる形で核が形成されたためだと考えられている。