分類の方法
分類の方法には2つある。人為分類と系統分類である。人為分類は、人間が勝手に分類したものであり種などは特に関係ない。例として、薬用植物や有毒植物などという分類がある。
系統分類は、DNAやRNAの塩基配列などによって行う分類である。生物の類縁関係を明らかにすることを目的とする。
分類の階級
種が分類が基本となっている。種は交配し、生殖能力を持つ子どもを残すことができるかが基準となる。つまり、生殖的な断絶があるかどうかである。種の上には、属、科、目、網、門、界がある。
例:シマリス(種)、シマリス属、リス科、ネズミ目、哺乳綱、脊椎動物門、動物界
種が異なっても子どもが生まれる場合はあるが、子に生殖能力はない(キメラ)。
ライガー(ライオン×トラ)
種の表し方
リンネが提唱した二名法が使用されている。属名と種小名を並べて記載する。
例: ヒト(和名)の学名:Homo(属名) sapiens(種小名)
系統
生物の進化の道筋を系統と呼び、それを樹状に表現したものを系統樹と呼ぶ。
遺伝子の水平移動
最近の研究によると、系統樹はいわゆる木の枝のような構造をしているわけではなく、遺伝子が水平移動(枝から枝へ移動)したと考えられている。このように、子孫にではなく異なる種に遺伝子が移動することを遺伝子の水平移動と呼ぶ。
特に細菌や古細菌においては、遺伝子の水平移動が頻繁に起こっており、原核生物の進化の原動力となった。真核生物においても、遺伝子の水平移動が起こっていることが確認されている。
遺伝子の水平移動はウィルスなどによって引き起こされる。ウィルスが自己の複製を作り出す際に、感染細胞の遺伝子を取り入れることがある。その感染細胞の遺伝子を持ったウィルスは、別種の生物に感染する。すると、遺伝子が宿主の細胞に組み入れられることがあり、無事に組み込まれると遺伝子の水平移動が完了する。
五界説
系統を、モネラ界、原生生物界、菌界、植物界、動物界に分けたものを五界説と呼ぶ。始まりはアリストテレスの植物と動物を分けた二界説であり、ヘッケルが三界説を唱え、その後四界説となり、現代の五界説が生まれた。
ドメイン
ウーズは分子時計の考えを用いて、ドメインと呼ばれる考え方を提唱した。ドメインは界よりも上位の分類である。ドメインには、細菌ドメイン(バクテリア)、古細菌ドメイン(アーキア)、真核生物ドメインの3つが存在する。
細菌ドメイン
原核生物のグループである。38億年前に、他のドメインと分岐した。大腸菌やシアノバクテリアがいる。
シアノバクテリア
古細菌ドメイン
原核生物であるが、RNAポリメラーゼの構造が真核生物と類似しており、「古細菌」との名称であるが細菌ドメインよりも真核生物に近い。24億年前に真核生物と分岐した。メタン菌(下画像)や光熱好酸菌、高度好塩菌などがいる。
真核生物ドメイン
真核生物であり、核膜、細胞小器官などが存在する。
細菌・古細菌・真核生物ドメインの特徴と違いの比較
細菌 | 古細菌 | 真核生物 | |
核膜 | なし | なし | あり |
染色体 | 環状 | 環状 | 線状 |
微小管・アクチンフィラメント | なし | なし | あり |
リボソーム | 70S | 70S | 80S |
tRNAのイントロン | なし | あり | あり |
翻訳開始のメチオニンのホルミル化 | あり | なし | なし |
プロモーター | プリブナウ配列 | TATAボックス | TATAボックス |
ストレプトマイシン感受性 | あり | なし | なし |
翻訳開始メチオニンのホルミル化とは、開始メチオニンのアミノ基のHが-CHOに置き換わっていることを意味している。
プリブナウ配列とは、転写開始部位の10塩基上流に存在するTATAATGの配列のことである。一方、TATAボックスとは転写開始部位上流に存在するTATAAAAという配列のことである。
ストレプトマイシンとは抗生物質であり、翻訳の際のポリペプチドの伸長を阻害する働きを持っている。
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ところで、このページにある系統樹の画像について
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