「タンパク質=巨大分子」解明の歴史

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信じられなかった巨大分子の存在

今となってはアミノ酸が多く共有結合して巨大分子を形成していることは当たり前の事実であるが、20世紀には「巨大分子」の存在を信じる科学者は殆どいなかった。当時は、タンパク質などは小さな分子が弱い力で集まった不均一な凝集物質に過ぎないと考えられていた。

当時、有機化学で人工的に合成できる化合物は4000ドルトン程度であった。そのことも「巨大分子」への疑念となっていった。

「ドルトン (D)」と「分子量」は【数値は同じ】です。

ドルトン (D)は『生物学や生化学において,分子量(相対分子質量)を用いるのが適当でない染色体,リボソーム,ウイルス,ミトコンドリアなどの【大きなタンパク質複合体など】の質量を表わすのに用いられる』

https://oshiete.goo.ne.jp

しかし、ヘモグロビンの鉄原子の割合を調べてみると、炭素712原子に対して鉄原子が1つ含まれていた。つまり、炭素712個もった巨大分子が1つの単位であることを示唆していた。アミノ酸がペプチド結合で繋がっていることを発見したフィッシャーですら、ポリペプチド鎖はアミノ酸が30~40個が限界であると考えていた。そのため、多くの科学者にとって炭素が712個も繋がっている化合物はとても想像できないでいたし、出会ったこともなかった。

https://pdbj.org/mom/41

1925年 スベドベリ Theodor Svedbergの研究

スベドベリは超遠心機を設計し、タンパク質の研究を行った。下画像は現代の超遠心機である。

スベドベリはヘモグロビンを遠心分離にかけた。もし、ヘモグロビンが小さな分子が凝集した物質ならば、不均一な沈殿が生じるはずである。もし、ヘモグロビンがある特定の大きさの巨大分子であるならば、ある一定の部位にのみバンドが出現するはずである。

https://beckman.jp/

結果としては、ヘモグロビンの遠心分離によって68,000ドルトンの部位に鋭い単一のバンドが出現した。よって、タンパク質が巨大分子であることが明らかとなった。

超遠心機の作成は、非常に困難をきわめたものであった。何より、回転部が非常に高熱になるため、高速回転を低温で安定的に行うことができる装置が必要であった。1926年にはスベドベリは超遠心機の設計と応用技術に対してノーベル賞を受賞している。

1930年 X線解析による実験

タンパク質を結晶化する技術が確立し、X線解析によってその構造が明らかになっていった。結晶化することができるのは大きさと形のそろった物質のみである。そのため、タンパク質が不均一な小さな分子の集団であるとの説は完全に否定された。

http://www.spring8.or.jp/ja/

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