なぜテロメアのプライマーRNAはDNAに置換されないのか

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テロメアとは

テロメアとは、DNAの末端に出現する繰り返し配列のことである。遺伝情報は含まれておらず、DNAを保護する役目があるとされている。ヒトの場合はTTAGGGの繰り返しである。

http://www.wikiwand.com/ja/

末端複製問題

DNAポリメラーゼはプライマーを起点としてDNAを複製するため、複製ごとにDNA鎖末端ではDNA鎖が短くなっていくとされている。

http://blog.goo.ne.jp/mtakafumigoo/

生殖細胞やがん細胞などでは、テロメラーゼと呼ばれる酵素がテロメアを伸長させるため、テロメアの短縮は起こらない。しかし、多くの体細胞ではテロメアが短縮し、ある程度まで短くなるとそれ以上、細胞分裂が起こらなくなることが知られている。

https://download.e-bookshelf.de/

教科書・参考書に書かれている謎部分

参考書や解説サイトなどにはDNAの複製過程について次のように書かれている。

最終的には、幾つかの酵素によって、RNAプライマーが取り除かれ、DNAへ置き換えられ、岡崎フラグメント同士が連結されることで切れ目のないDNAとなります。

https://www.nig.ac.jp/

多くの図などを見ると、この最端のプライマー分の塩基配列が短くなっていくように表現されている。しかし、テロメアにあるプライマーもDNAに置き換わるのでは?というのがずっと謎でモヤモヤしていた。この疑問は、プライマー(RNA)をDNAに置換するDNAポリメラーゼⅠの働きを調べることで解決した。

ちなみに、プライマーはテロメアの最端にいつもあるわけではないので、プライマーがDNAに置換されてたとしても、テロメアは短縮されていく。テロメアの短縮を食い止めるにはテロメア―ゼによる塩基配列追加しかない。

http://www.cc.kochi-u.ac.jp/

DNAポリメラーゼⅠの特性

「DNAポリメラーゼ」と一言に言っても様々な種類がある。例えば、DNAポリメラーゼⅢは、RNAプライマーを起点としてDNA鎖伸長を行うDNAポリメラーゼである。そして、DNAポリメラーゼⅠがRNAプライマーを除去して、DNAに置き換えるポリメラーゼである。

DNAポリメラーゼⅠはニックと呼ばれる、RNAとDNAの切れ目(結合が切れている箇所)を探し出す機能を持っている。この切れ目は、DNAポリメラーゼⅢがRNAプライマーとは結合を作らないために生じる。

DNAポリメラーゼ I はDNA上をたどっていきホスホジエステル結合がとぎれている箇所(ニック;DNAとプライマーの境界線)を発見すると,この箇所から3’方向に向かって 約10塩基ヌクレオチドを除去する5’→3’エキソヌクレアーゼ活性を発揮する。この活性のおかげでRNAプライ マーは取り除かれ,その後DNAポリメラーゼ I は生じた空白部をポリメラーゼ活性で埋める。最後に残ったニックはDNAリガーゼという酵素がNAD,またはATPを利用してつなぐ。

http://www.bio.tottori-u.ac.jp/

RNAを除去する機能をエキソヌクレアーゼ活性と呼び、どのDNAポリメラーゼが何の活性を持つかはすでに調べられている。ちなみにポリメラーゼⅠ・Ⅱ・Ⅲとの呼称は原核生物のそれに対するものであって、真核生物のDNAポリメラーゼにはギリシャ文字が使用されており、その機能も異なっている。

http://210.151.112.51/

結論

「なぜDNAポリメラーゼⅠはテロメア部分のプライマーをDNAに置換することができないのか」との問いへの答えは、「ヌクレオチド同士の切れ目「ニック」が存在しないため、DNAポリメラーゼⅠの活性が生じないため」と言うことができる。

http://210.151.112.51/

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