ちょっとディープな生物の世界

ヒトの卵細胞の形成-卵細胞の成熟・卵胞の形成と成熟-

始原生殖細胞の移動

始原生殖細胞はヒトの胚では第三週末に出現し、アメーバ運動によって卵黄嚢から生殖巣へと移動する。そして第五週に生殖巣(卵巣)に到達する。

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一次卵母細胞の形成と分裂の休止

始原生殖細胞が卵巣に到達すると、細胞分裂し、卵原細胞に分化する。これはヒトが生まれる前の胎生4カ月の時点で起こる。

胎生7カ月になると、卵原細胞は細胞分裂し、一次卵母細胞へと分化する。一次卵母細胞になるとすぐにDNAを複製し、減数分裂第一分裂前期に突入する。前期が終了すると卵母細胞は中期に進まずに休止状態に入り、卵胞細胞に覆われる。この構造を原始卵胞と呼ぶ。卵母細胞は排卵が引き金となって減数分裂第一分裂(中期)が始まる。そのため、思春期を迎えるまで休止状態が維持される。

http://medcell.med.yale.edu/

出生後(思春期以前)の卵母細胞

思春期に達する前には、卵子成熟抑制物質が卵胞細胞から分泌されており、減数分裂が休止された状態が維持される。出生時には卵母細胞は70~200万の数があると推定されているが、これが体の成長につれて大多数が退化し、思春期には4万個までに減少する。

卵胞の形成と排卵

思春期になると、一次卵母細胞は大きくなり、また卵胞細胞は増殖して果粒層細胞という重上皮を形成する。この構造を一次卵胞と呼ぶ。果粒層細胞からは糖たんぱく質が分泌され、一次卵母細胞周辺に透明帯が形成される。

http://medcell.med.yale.edu/

卵胞の周囲には卵胞膜が形成される。卵胞膜は卵胞が発達するにつれて、分泌細胞である内卵胞膜と結合組織である外卵胞膜へと分化していく。

卵胞細胞がさらに発達すると、卵胞細胞の間に液体に満ちた腔が形成される。これを卵胞腔と呼ぶ。ここまで発達した卵胞を二次卵胞と呼ぶ。一次卵母細胞を取り囲んでいる果粒層細胞は卵胞腔内でもりあがって見えるため卵丘と呼ばれる(下画像)。二次卵胞の直径が10mmを超えるまでに発達すると、三次卵胞と呼ぶ。

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卵巣周期ごとに多くの卵胞が発達するが、最後まで成熟するものは1つだけである。その他の卵胞は退化する(それらの閉鎖卵胞と呼ぶ)。最終的な成熟にたどり着いた1つの卵胞内の一次卵母細胞は、減数分裂を開始し、二次卵母細胞第一極体となる。二次卵母細胞が紡錘体を形成した時(中期)に排卵が起こり、再度減数分裂が休止される。その後の減数分裂が進むのは受精した時のみである。

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卵胞の役割とは

卵胞の第一の役割は卵細胞の支持であり、もう1つに性ホルモンの分泌がある。

出生後の卵胞の発育は脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)、および黄体形成ホルモン(LH)によって調節される。FSHはまたLHによって、卵胞上皮細胞(顆粒層細胞)からエストロゲン分泌される。

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