原尿量・流入血液量の計算-イヌリンとバラアミノ馬尿酸-

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尿生成の過程

尿生成では始めに血液が腎小体【糸球体、ボーマンのう)でろ過され、原尿が生成される。その後、原尿は腎細管を通る際に成分が再吸収され、尿となる。この流れは頭に入れておこう。

saikyusyu

http://www.koyogakuin-j.ed.jp/

イヌリンとは

イヌリンとは多糖類の一種であり、いわゆる食物繊維である。体内では分解されず、尿として排出される。イヌリンは全く再吸収されない物質であり、その性質を利用して原尿量などを測定できる。

原尿量の計算方法

原尿量を調べるためには、イヌリンを静脈注射する。イヌリンは糸球体からボーマンのうへろ過されるが、腎細管では全く再吸収されず、原尿中の全てのイヌリンが尿中に排出される。

  • イヌリンの原尿中の濃度=P
  • イヌリンの尿中での濃度=U
  • 尿量=V

とすると、

  • イヌリンの原尿中での量=原尿量×P
  • 尿中でのイヌリンの量=V×U

となる。

イヌリンは原尿中の全てが尿中に排出されるので、尿中でのイヌリンの量と、原尿中でのイヌリンの量は等しい。つまり次の式が導き出される。

原尿量 × P = V × U

変形すると次のようになる。

原尿量 = V × U / P

イヌリンは糸球体からボーマンのうへろ過される物質である。そのため、血しょう中の濃度と原尿中のイヌリンの濃度は等しい。つまり、次の式が成り立つ。

U / P = 血しょう中のイヌリンの量 / P

「血しょう中のイヌリンの量 / 尿中のイヌリンの量」は血しょうから尿へのイヌリンの濃縮率であると言える。よって、原尿量を求める式は次のようにも立てることができる。

原尿量 = V × イヌリンの濃縮率

例題①

ある人の原尿量を調べるためにイヌリンを静脈注射し、血しょう中の濃度が安定してから尿中イヌリンの濃度を測定し、次の数値が得られた。また、1時間あたりでの尿の生成量は60mLとする。1時間当たりの原尿の生成量を計算してみよう。

血しょう中 尿中
28 mg/100mL 3360 mg/100mL

考え方

血しょう中と原尿中のイヌリン濃度は同じであること、イヌリンは全く再吸収されない物質であるから、次の式が使える。

原尿量 = 尿量 × イヌリンの濃縮率

数値を入れていくと、

原尿量 = 60ml × 3360 / 28

原尿量 = 60 × 120 = 7200 mL

よく尿素の数字もイヌリンと並行して問題文に記されることが多いが、尿素は再吸収される物質であるため、イヌリンのような正確な原尿量の数値を求めることができない。「全く再吸収されない」からこそできる計算なのである。

腎臓に入ってくる血液量の計算-バラアミノ馬尿酸-

イヌリンはあくまで「ろ過した血しょう量」を調べることしかできない。しかし、実際にはろ過する量以上の血液が腎臓に流入しており、ろ過されきれなかった血しょうも多くあるだろう。つまり何が言いたいのかというと、「ろ過した血しょう量」は「腎臓に流入した血液量」ではないということである。

「腎臓に入ってくる血液量」の計算方法として、バラアミノ馬尿酸が用いられる。この物質は、糸球体からボーマンのうへろ過されるだけでなく、さらに糸球体を通過した血液から腎細管へ追加排出される。血液が1回腎臓を通過することによって、血しょう中の90%のバラアミノ馬尿酸が尿中へ排出されることがわかっている。

https://en.wikipedia.org/

例題②

ある人の腎臓へ流入する血液量を調べるためにバラアミノ馬尿酸を静脈注射し、血しょう中の濃度が安定してから尿中濃度を測定し、次の数値が得られた。なお、1時間で60mlの尿が生成され、血しょう中の90%のバラアミノ馬尿酸が尿中へ排出される。また、血液における血しょうの割合は56%とする(44%は血球)。1時間あたりの腎臓へ流入する血液量を計算してみよう。

血しょう中 尿中
2 mg/100mL 1260 mg/100mL

考え方

1時間で60mlの尿ができるため、尿中のバラアミノ馬尿酸の量は

1260 × 60 /100 = 756 mg

血しょう中の90%が尿中へ排出されるため、血しょう中のバラアミノ馬尿酸の量は

756 ÷ 0.9 = 840 mg

血しょう100mL中にバラアミノ馬尿酸は2mg含まれているので、840mgのバラアミノ馬尿酸を含む血しょうの量は

840 × 100 / 2 = 42000 mL = 42 L

血液中の血しょう成分の割合は56%なので、血液量は

血液量 × 56 / 100 = 42 L

血液量 = 75L

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