カニの体液の塩類濃度(浸透圧)変化のグラフ
よく出てくるグラフとして3種類のカニの以下のグラフがある。この3種とは、海水にすむカニ、汽水(淡水と海水が混ざったもの)にすむカニ、淡水にすむカニである。A,B、Cのグラフは、どの種類のカニであろうか。
浸透圧って何?という人はぜひ「浸透圧はなぜ生じるのか(浸透はなぜ起こるのか)」をご参照いただきたい。
グラフの見方
右側へ行けばいくほど外液の塩類濃度が上昇し、上側へ行けばいくほど体液の塩類濃度が上昇する。浸透圧調節能力がない生物は、外液の濃度が上がれば、体液の濃度も上昇する。つまり、グラフの傾きが「1」に近いほど浸透圧調節能力が無いと言え、グラフの傾きが少ないほど浸透圧調節能力がある、と言える。
Bは外液の塩類濃度が低くても高くても生きていける生物であり、汽水産のカニであることがわかる。汽水領域では、海水と淡水が完全には混ざっておらず、淡水・海水どちらにも晒される環境にあるのである。
Aは外液の塩類濃度が比較的低くても生きていけるため、淡水産のカニである。塩類濃度が「4」の値までは、グラフの傾きから浸透圧調節をしていることがわかる。
Cは海水産のカニである。どの地点においてもグラフの傾きが「1」の値に近いことから、海水産のカニには浸透圧調節能力が全くないことがわかる。事実、カニだけではなく、海水産の無脊椎動物には浸透圧調節能力は殆どない。
まとめ
上記の様なグラフの読み方として、次のことを押さえておこう。
- 浸透圧(体液濃度)調節能力がない生物ほど、グラフの傾きが「1」に近づく。
- 浸透圧調節能力がある生物のグラフは平行に近づく。
動物の体液の浸透圧のグラフ
続いて、下のような縦グラフを見てみよう。これは、各動物の体液の浸透圧を示したグラフである。下のグラフは、蒸留水と体液を半透膜で挟んだ際に、どれだけの水が移動したかを測定して作られたものである。なお、淡水と海水の浸透圧も横線として示してある。
グラフの見方
各生物の縦グラフは単純に体液の濃度を表していると言ってよい。海産無脊椎動物や海産軟骨魚類はほぼ海水と同じ体液濃度である。一方、同じ海産でも海産硬骨魚類は体液濃度が低い。海産無脊椎動物は体液濃度を調節できないことがわかる。また、海産軟骨魚類は自身の中に尿素をためこんで海水と同じ体液濃度にすることで調節する手間をなくしている。
海産硬骨魚類は体液濃度を調節(塩分排出)して、海水よりも薄い体液を保っている。
淡水産の無脊椎動物、硬骨魚類などは、淡水よりも体液濃度が濃いため、それぞれ体液濃度を調節(塩分を吸収して大量の水を排出)する能力を持っていることがわかる(下画像下段)。
ほ乳類、爬虫類、鳥類は優れた腎臓を使って体液濃度を調節できる。
まとめ
次のように覚えておこう。
海水産
浸透圧調節能力なし:海水産無脊椎動物、海水産軟骨魚類
浸透圧調節能力あり:海水産硬骨魚類
淡水産
浸透圧調節能力あり:淡水産無脊椎動物、淡水産硬骨魚類、両生類
とてもわかりやすいです!!!
出来れば浸透圧自体のもう少し簡単な説明がほしいです
コメントいただきありがとうございました。
少しサイト内を調節したいと思います。