生態と環境

個体群の絶滅

絶滅の渦

絶滅は次の過程が繰り返されることによって起こる。これを絶滅の渦という。

  1. 生息地の面積の縮小
  2. 遺伝子の多様性の低下
  3. 近交弱勢
  4. 人口学的な確率性
  5. アリー効果の低下

 

1.生息地の面積の縮小

様々な原因による生息地の縮小によって、個体群の大きさも縮小することになる。

森林伐採

2.遺伝子の多様性の低下

個体群が小さくなると、遺伝子の多様性も減少する。遺伝子の多様性が低くなると、新たな病気などが発生した時に適応できなくなる。これによって個体数がさらに低下する。
てんとう虫
遺伝子の違いにより模様が異なるダンダラテントウhttps://www.kahaku.go.jp/event/2010/05balance/content.html

3.近交弱勢

個体群が小さくなると、近親交配が多くなる。劣勢ホモの遺伝病などが発現しやすくなる。

【4月16日 AFP】(一部訂正)帝国の絶頂期にあったスペインに君臨したハプスブルク(Habsburg)王朝は、近親婚による遺伝性疾患が原因で断絶した可能性があるという研究結果が15日、米オンライン科学誌「PLoS ONE」に発表された。

スペインを174年間にわたり支配したハプスブルク家は、子どものいなかったカルロス2世(King Charles II)が39歳で亡くなった1700年に断絶。王位はフランス・ブルボン家(French Bourbons)に継承された。

ハプスブルク家は血筋を維持するために、世代が下るごとに近親婚が増えた。11の結婚のうち9組が「3親等以内の親族」との結婚だったという。

スペインのサンチアゴ・デ・コンポステラ大学(University of Santiago de Compostela)とガリシア州ゲノム医療公益財団(Galician Public Foundation for Genomic Medicine)の研究者らは、ハプスブルク家の歴代の王の近親交配の程度を表す「近交係数」をコンピューターで計算した。

するとスペイン系ハプスブルク家の近交係数は、初代のフェリペ1世(King Philip I
では0.025だったのに対し、代を追うごとに上昇し、カルロス2世では0.254という数字に達した。0.20という高い数値を上回るメンバーが複数い
たことも明らかになった。研究チームでは、近親者同士の度重なる結婚が、カルロス2世の遺伝性疾患の原因となった可能性があると結論付けた。

同研究によると、カルロス2世は身体に障害を持ち、心身喪失状態だった。当時の文献には、カルロス2世が話せるようになったのは4歳、歩けるようになった
のは8歳になってからだったと記されている。また晩年は立ち上がることも困難で、幻覚に悩まされ、ひんぱんにけいれんを起こしていたという。また性的に不
能でもあり、結局はこれがハプスブルク家の断絶を招いた。

研究は、カルロス2世のこのような複雑な病歴の大半は、下垂体ホルモン欠乏症と遠位尿細管性アシドーシスという2つの遺伝性疾患が同時に発症したと考えると説明しうると報告している。

また、スペイン・ハプスブルク一族内の乳幼児死亡率が、当時の戸籍から導かれる国内村落の平均よりも明らかに高かったという事実も、これを裏付けるものだと指摘している。(c)AFP
http://www.afpbb.com/articles/-/2592887?pid=4035719

4.人口学的な確率性

小さな個体群では、死亡確率が増加する、産子数の変化、雄が突然産まれやすくなるなどの偶然による影響を大きく受けてしまう。

5.アリー効果の減少

アリー効果とは個体群密度が高くなると、個体群の成長が促進されることである。餌を同種で協力して確保できたり、交配相手が見つかりやすいということが原因となる。個体群が小さくなると、アリー効果も小さくなる。

外来生物の侵入

外来生物が在来種の絶滅を引き起こす場合がある。そのため、外来生物法によって海外から生物を持ち込むことは禁止されている。

生物多様性保全

絶滅している生物の中には、人間にとって有益な生物種も存在するかもしれない。特に細菌、微生物は医薬品などに使える物質を産生するものも多くいる可能性があるのだ。
また、人間は生態系から様々な恩恵を受けており、これを生態系サービスという。これを受け続けるためにも、生物多様性は保護されなければならない。

生態系サービスは、次の5つの種類に分割することができる [* 4]

  • (供給)食品や水といったものの生産・提供
  • (調整)気候などの制御・調節
  • (文化)レクリエーションなど精神的・文化的利益
  • (基盤)栄養循環[* 5]光合成による酸素の供給
  • (保全)多様性を維持し、不慮の出来事から環境を保全すること

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E6%85%8B%E7%B3%BB%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9

生態系と生物多様性

生物の多様性の定義

生物多様性には3つの側面がある。

①生態系の多様性

 森林、草原、外洋域、浅海域、湿原など様々な生態系が存在している。

②種の多様性

 生態系に応じて、様々な生物が生息し、相互作用している。

③遺伝子の多様性

 個体群内では遺伝子に多様性がある。遺伝子の多様性は環境の変化や病気に対応できる個体が存在する可能性を大きくしている。

撹乱

生態系を破壊して変化させる外的要因と撹乱と呼ぶ。撹乱が大きすぎると、生物種が減少する。また一方で、撹乱があまりに少ないと種間競争が激しくなり、競争的排除によって種数が減少する。つまり、撹乱が大きすぎず小さすぎずの中規模な撹乱によって生物種の多様性を維持することができる。これを中規模撹乱仮説と呼ぶ。

「撹乱」とは,生態系・群集・あるいは個体群の構造を乱し,資源・基質の利用可能量・物理環境を変えるような,顕著なイベントと定義されます。

 生物
生育環境を大きく変え,空いた空間,つまり次世代の個体が移入し利用できるハビタット(生息場所)を生み出すことを撹乱と呼びます。たとえば,森林生態系
の場合では,台風,ハリケーン,サイクロン,山火事,火山噴火,雪崩,などにより森林が大きく破壊されると,樹木が倒壊あるいは枯死したところでは,新た
な開いた空間が形成されます。


 
そのような場所は,一見すると荒廃地に見えますが,実はさまざまな生物に住み場所を提供するとともに,自然のプロセスとしての再生の場ともなります(更新
と呼ばれます)。その後,長い時間をかけての更新プロセスには決まった道筋はなく,非常にバラエティに富んでいます。撹乱と再生のプロセスにより,生態系
に多様性が生み出されます。

http://akkym.net/research/asm-disurbance.html

人為撹乱

人間によって生態系が破壊されることを人為撹乱と呼ぶ。焼き畑、森林伐採、乱獲などが挙げられる。人為撹乱の場合、生態系破壊の度合いが大きく、回復不能になる場合もある。

46億年の地球の歴史の中で、5回の「大絶滅」(オルドビス期、デボン期、二畳期、三畳期、白亜期)があり、気候変動や天変地異などで生物の大部分が絶滅しました。二畳期(2億5千万年前)には90%が消滅し、白亜期(6500万年前)には恐竜など75%が消滅しました。現在、ホ乳類の1/4、鳥類の1/9など、全生物の 25%が絶滅の危機にさらされています。現在の絶滅は「大絶滅」よりも急激で大規模で、生態系の破壊により、根こそぎの種の絶滅のため、約
2000万種の生物のうち、毎年5万~15万種(毎日
100~300種)の生物が今も絶滅し続けています。この絶滅の速度は過去の絶滅の数万倍です。こうしたことを受け、国連機関や世界的な研究所が次のよう
な報告を発表しています。

19世紀までの絶滅は、食糧や毛皮、羽毛などを目的とする乱獲によって、リョコウバトやトキのように特定の種の生物が絶滅してきました。しかし、現在は森
林伐採や河川の汚染、乱開発による生態系の “根こそぎの破壊”が進行しています。 (山の切り崩し、
湖沼や河川の埋立、河川や海岸の護岸工事、ゴルフ場、リゾート、コンビナートなどの開発や農薬などによる環境汚染など)とくに生物の宝庫といわれる熱帯林の破壊は深刻です。自然淘汰の 10,000倍の速度で絶滅が進んでおり、 30年以内に熱帯の植物や鳥類の25%が絶滅すると世界銀行が報告をしています。環境破壊や開発の加速を考えると、種の絶滅の加速は予測不可能なほど悲惨な状況です。

生物は互いに支え合っています。クマノミはイソギンチャクと、ワニチドリはワニと共生しています。私たちの体の中にも腸内細菌のような菌が住んでいます。
細菌類が全くいなくなると私たちも生きていけません。種の絶滅はその場の生態系の崩壊を意味しています。一種の生物の絶滅が引き金になって、ドミノ倒しの
ように人類を含めた生物の全滅につながる可能性があります。

http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/extermination.html

しかし、里山のように適度な人為撹乱は生物多様性を高めるのに一助している。

里山

里山https://www.toyota.co.jp/moritanken/text/c_what.html

生態系内の物質とエネルギーの動き

物質の生産と消費

光合成によって生産者が作り出した有機物の総量を総生産量と呼ぶ。このうち、生産者が生命活動のエネルギーとして使用するものを呼吸量、成長に使用されるものを成長量と呼ぶ。残りは他の生物に食べられ(被食量)、食べられなかった分(枯死量)は枯れて菌類や細菌類に分解される。

被食量は同化され、呼吸量、成長量に使われる、蓄えられる分は他の高次消費者によって捕食される(高次消費者の被食量)。同化された内で死滅してしまうものは死滅量と呼び、菌類や細菌類によって分解される。また、摂取されたが同化されなかった不消化物の総量は不消化排出量と呼び、同様に菌類・細菌類によって分解される。

まとめると以下のようになる。

生産者

  • 総生産量=光合成によって作り出した有機物の総生産量
  • 純生産量=総生産量-呼吸量
  • 成長量=純生産量-(被食量+枯死量)

消費者

  • 同化量=摂取量-不消化排出量
  • 成長量=同化量-(呼吸量+被食量+死滅量)

分解者

  • 分解量=生産者の枯死量+消費者の不消化排出量・死滅

エネルギーの移動

生物間では物質が移動しており、同時にエネルギーも移動している。生産者が光エネルギーを取り込み、有機物に化学エネルギーとして蓄積する。化学エネルギーは消費者へと移動し、消費者は熱エネルギーとして体外へ放出する。物質は循環しているが、エネルギーは光→化学→熱の一方方向である。

エネルギーの行き先

エネルギーの効率

ある栄養段階のエネルギー量を、1つ前の栄養段階のエネルギー量(生産者の場合は光エネルギー量)で割って×100したものをエネルギー効率という。

エネルギー効率

https://cnx.org/

例えば、上画像の生態系で考えて見よう。ある生態系の生産者(上画像緑色)の総生産量が10,000で、入る光エネルギーが1,000,000の場合、次のような式になる。

生産者のエネルギー効率=10,000÷1,000,000×100=1%

また、一次消費者(上画像茶色)の同化量が1,000の場合は次のようになる。

消費者のエネルギー効率=1,000÷10,000×100=10%

一般的に高次消費者になればなるほど、エネルギー効率は高くなる。

生態系と物質生産

森林

純生産量が最大の生態系は森林である。陸地生態系で7割の純生産量を占めている。

森林

湿原

湿原は単位面積あたりの純生産量が最大である。

湿原

外洋域

外洋域は単位面積あたりの純生産量は最小である。しかし、総面積が広く地球全体の純生産量の25%を占めている。

koban

浅海域

浅海域は陸から豊富な栄養が供給される。そのため、単位面積あたりの純生産量は外洋域よりも大きくなっている。

産後

生物群集

一定の空間に暮らす様々な個体群を生物群集と呼ぶ。生物群集は相互作用しながら生息している。

ニッチの分割・資源の分割

ニッチとは生態的地位(生息地・食物連鎖上の位置など)のことである。同じニッチを占める生物種は共存することはできないが、ニッチが変更されることによって共存が可能となる場合がある。これをニッチの分割と呼ぶ。

ニッチの分割は資源の分割によって引き起こされる。資源分割とは、同じニッチの生物種が種間競争によって進化し、利用する資源を変化させたことを言う。ドミニカ共和国のアノールトカゲが例として挙げられる。

anoru
アノールトカゲの共存

基本ニッチと実現ニッチ

類似した個体群が同じ空間に生息すると、種間競争の結果、ニッチの変化が起こる。他種と共存した場合に実際にその種が占めるニッチを実現ニッチと呼ぶ。一方、一種だけがその空間に生息した場合のニッチを基本ニッチと呼ぶ。基本ニッチは実現ニッチよりも大きくなる。

形質置換

種間競争の結果、形質に変化が生じる現象を形質置と呼ぶ。形質置換は種間競争を緩和する。また、形質置換は共進化の一種である。

共進化とは生物が他の生物に適応していく過程で,両方の生物がお互いに進化しあうこと。ダーウィンは,花底まで 30センチメートルもあるラッパ型の細長い蘭の花でも,その蜜を吸える蛾はいるはずだと考えたが,のちにそのような蛾が発見されており,共進化現象に気づいていたと思われる。
https://kotobank.jp/word/%E5%85%B1%E9%80%B2%E5%8C%96-157690

ダーウィンフィンチでは、ある種(A種)が単独で生息する島と、A種と異なる種(B種)が共存する島とではA種のくちばしの大きさに変化が見られた。これは種間競争によって形質転換が引き起こされたためと考えられる。

ダーウィン
ダーウィンフィンチhttp://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20090723/1248304965

環境形成作用と多種の共存

森林の樹木に多様性があればあるほど、類似種の共存の可能性が高くなる。実際に、葉のつける高さの多様性がある森林では、鳥類の種多様性が高くなっている。海洋ではサンゴによって多様な環境が形成されるため、様々な生物が共存することができている。生物が環境に与える影響を環境形成作用と言い、多種が共存できるような環境を作り出している。

生物の生活は、環境との密接な関係の上になりたっている。環境とは、具体的に生物の生活の場と表現することができるであろう。環境を抜きにして生物の存在
はあり得ないともいえる。生物をとりまく環境のうち、生物に何らかの影響を与える要因を環境要因という。環境要因のうち無機的環境要因が生物に与える環境
のことを作用という。これとは反対に生物が環境にはたらきかけて影響を与えることを反作用(環境形成作用)という。また、生物どうしがお互いに影響を与え
ることを相互作用(生物相互作用)という。
http://spider.art.coocan.jp/biology2/ecology2inter.html

種数の決定要因

種数の決定要因には気候と面積が影響していると考えられている。熱帯と寒帯を比べると、はるかに温帯の方が種数が多い。温度と日射量が影響を与えていると考えられる。厳冬期には成長できないため、成長可能な期間が長ければ長いほど種分化の可能性が高まる。一方、面積が大きければ大きいほど種分化が高まる傾向がある。広い生息地ほど多くの種が共存可能となるためである。

熱帯雨林には世界中で一番多い生物が生息しています。
それらが地球の表面の2%以下を占めるだけなのに、熱帯雨林は地球の植物と動物の50%以上が住んでいる地方です。
熱帯雨林の豊かさの例を見てみましょう:

  • 熱帯雨林に世界250,000の知られている植物種の170,000種があります。
  • 米国にカエルの81の種があります。けれども、テキサスより小さいマダガスカルには300種のカエルが生息しています。
  • ヨーロッパに321の蝶種があります。ですが、ペルー(マヌ国立公園)雨林公園には1300の種がいます。


熱帯雨林に多くの植物と動物が以下の理由で生息しています:

  • 気候:熱帯雨林が熱帯地域にあるので、多くの日光を受け取ります。
    この日光は植物の光合成プロセスによってエネルギーに変えられます。 たくさんの日光を受け取る熱帯雨林には多くのエネルギーがあることを意味します。
    このエネルギーは植物層に蓄えられ、動物に食べられます。
    多くの食糧があるので植物と動物の多くの種類が生息しています。
  • 林冠: 林冠の構造は、植物が生える場所と動物が住むのためのより多くの場所があることを意味します。
    林冠は食糧、避難所や隠れ場所の新しい提供源となり、異なった種類間のを相互作用が行われる世界となります。
    例えば、葉に水を蓄えるブロメリアと呼ばれる林冠に生える植物があります。カエルのような動物はそれらの水たまりを
    エサを得るためや彼らの卵を産み付けるために利用します。

http://world.mongabay.com/japanese/201.html

異種個体群の相互作用

異種個体群同士では、種間競争、被食と捕食の関係、共生、寄生、間接効果などの総合作用がある。

種間競争

異種間では、ニッチの類似するもの同士が資源確保のために争いが起こる。これを種間競争と呼ぶ。片方がその空間から排除されることもあり、それを競争的排除と呼ぶ。オーストラリア大陸を除いて有袋類が絶滅したのは、哺乳類との競争で排除されたためである。一方、片方が形質を転換させて共存を行う場合もある。アノールトカゲでは、複数種が住む場所を変えて共生している。

yuutai
有袋類と哺乳類http://www.i-younet.ne.jp/~masuyamaakio/kasetsu/animal.html

被食と捕食

捕食関係を食物連鎖と呼ぶ。捕食者が増加すれば被食者は減り、捕食者が減少すれば被食者は増加する。食物連鎖を個体数で表現するとピラミッド型になる。高次消費者ほど数が少ない。

共生

共生には相利共生片利共生の種類がある。どちらも利益を得ている場合を相利共生という。アリとアブラムシの関係が例に挙げられる。一方、片方しか利益のないもは片利共生と呼ばれる。コバンザメとサメの関係が例に挙げられる。

寄生

寄生者宿主の栄養分などを吸い取るような関係を寄生という。下はボットフライと呼ばれる寄生虫の動画。

間接効果

2種間で生じる相互作用は、2種以外にも影響を及ぼす場合がある。その影響を間接効果と呼ぶ。例として、ヒトデとイガイと海藻の関係が挙げられる。ヒトデはイガイを食べるため、ヒトデを除去するとイガイの個体数が増加する。イガイと海藻は競争関係にあるため、イガイの増加によって海藻は減少する。ヒトデと海藻は関係無いように見えて、イガイを間接的に挟んで関係していることがわかる。

個体群内の相互作用

個体群内の相互作用には、種内競争、縄張り、順位制&リーダー制、群れの形成、社会性などの種類がある。

種内競争

同種内で食べ物や住処を奪い合う競争である。

縄張り

個体群の中で、自分の勢力が及ぶ範囲を縄張りと呼ぶ。縄張りが大きすぎると、維持する労力が必要とされる。一方、小さすぎると利益を得られない。利益-労力の最も大きな値となるのが、適切な縄張りの大きさである。

順位制とリーダー制

個体間に優劣ができることを順位制と呼ぶ。また、順位の高いものが個体集団をリードする場合をリーダー制という。

群れ

個体同士が集まって集合することを群れという。餌を効率的に見つける、外敵から身を守る、繁殖し易いようにするなどの利益がある。群れが小さすぎると個体同士が争ってしまい、群れが大きすぎると群れの利益を得られない。周囲を警戒する時間-個体同士が争う時間の値が最も小さいのが、適当な群れの大きさである。

社会性

個体間で分業を果たすものを社会性と呼ぶ。前に紹介した群れにリーダーがいる象などの動物は社会性を持っていると言える。哺乳類のような高度な生物でなくとも、ある昆虫類では集団生活と分業が見られる。このような昆虫を社会性昆虫と呼ぶ。アリなどのように生殖能力が1個体のみの社会を真社会性と呼ぶ。アリの他に、ハダカデバネズミも真社会性である。

個体群の成長と密度効果

個体群の成長

個体群は時間が経つにつれ個体数が増加する。すると、個体群密度が増加する。これを個体群の成長と呼ぶ。個体群は成長するにつれ、次第に環境収容力(個体数が増加しなくなる個体群密度)に達する。すると、成長曲線はS字型になる。

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成長曲線

密度効果

個体群密度によって、個体に影響が与えられることを密度効果と言う。その中でも特に形態や行動に著しい変化がある場合は相変異と呼ぶ。個体群密度が高いところに生息するワタリバッタは、足の長さが短くなることが知られている。

souheni
ワタリバッタの相変異http://ja.wikipedia.org/wiki/

植物においては、個体群密度が高くなると背が伸びなくなり、個体群密度が低くなると背の高く大きく成長する。しかし、個体群密度がいかなる場合であっても、植物の総重量はほぼ変わらない。これを最終量一定の法則と呼ぶ。

 

 

個体群

個体群とはある空間で生活する同じ種類の生物集団のことである。

個体群密度

一定の空間で生活する個体数を、個体群密度と言う。個体群の個体数を生活空間の大きさ(面積or体積)で割ると求めることができる。例えば、上のムラサキガイの個体群が3平方メートルに300個体いた場合、個体群密度は100個体/1平方メートルとなる。

個体群密度を求めるには、区画法標識再捕法がある。
区画法は、一定の広さの区画をいくつか設け、区画中の平均個体数を数える。そして、区画が地域全体の何%かを求め、全個体数を推定する。
標識再捕法では、捕獲した個体に標識を付けて話、いってい時間後に再び捕獲する。次の比例式に当てはめて全体の個体数を推定する。
全個体数:最初の標識の個体数=2度めに捕獲された総個体数:2度めに捕獲された標識のある個体数

個体の分布様式

個体群の中の個体の分布様式は集中分布、一様分布、ランダム分布の3つに分けられる。

集中分布では生息域の特定の場に集って分布している。巣ごとに集団生活している蟻などの動物が例として挙げられる。

一様分布では生息域全体に均一に分布している。フジツボなどが例として挙げられる。

ランダム分布では、不規則に分布している。たんぽぽなどが例として挙げられる。

tanpopo
タンポポhttp://blogs.yahoo.co.jp/mikiyamapark/39013025.html

bunpu
上から一様分布、ランダム分布、集中分布

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E5%B8%83%E6%A7%98%E5%BC%8F

メタ個体群

ある地域に分布する同種個体群の間で、お互いに個体の行き来がある場合、それらの個体群をまとめてメタ個体群と呼ぶ。各個体群では、個体数の増減がある場合でも、メタ個体群としては一定の個体数を保っている場合が多い。

meta
メタ個体群http://nrifs.fra.affrc.go.jp/ugoki/17/14.htm

環境と個体群の変容

安定した環境では、子どもが死ぬ確率が低いため、大卵少産型が多い。個体数は環境収容力に近い値となる。一方、不安定な環境では小卵多産型が多く、個体数は大きく変動する。小卵多産型の個体数は環境収容力には達しない。

アクアリウムの世界では、よく、「大卵型だから水槽で殖える」とか、「小卵型だから水槽で増やすのは難しい」とか言います。前者はビーシュリンプやミナミヌマエビ、後者はヤマトヌマエビが有名です。
http://mizugiwa.sakura.ne.jp/shrimp/bigsmall.htm