ちょっとディープな生物の世界

細胞性粘菌・変形菌類・卵菌の違い

原生生物の「菌類」

原生生物に属する広義の「菌類」には、細胞性粘菌、変形菌類、卵菌などがいます。「菌」と名前がついていますが、キノコなどの「菌界」に属するものとは全く別物です。

生物界にいる「菌」が名前につく生物は3つの界に存在しています。非常にややこしいです。

  1. モネラ界:細菌、古細菌
  2. 原生生物界:細胞性粘菌類、変形菌類、卵菌類など
  3. 菌界:子嚢菌類、担子菌類、接合菌類など

細胞性粘菌とは

細胞性粘菌とはある時期は単細胞生物としてアメーバ運動し、ある時期には集合して移動体を形成する生物です。移動体もアメーバ運動します。移動体は最終的に柄を伸ばし胞子体を形成します。

移動体は多細胞生物のように見えますが、10万単位の単細胞が集まった生物です。その10万ほどの細胞の中から、胞子を作ることが担当した者のみが次世代に遺伝子を渡します。

変形菌類とは

変形菌は基本的に単細胞の生物です。核を多数持っていますが、細胞同士が融合していて細胞としては1つです。アメーバ運動して移動します(変形体)。その後、変形体は子実体となり、胞子をつくります。胞子は発芽して配偶子となり、配偶子同士が接合して、接合子となります。接合子が集まって変形体を形成します。

変形体(接合子の集合体)⇒子実体⇒(減数分裂)⇒胞子⇒(発芽)⇒配偶子⇒(接合)⇒接合子

卵菌とは

造卵器と造精器を持っています。細胞壁の成分がキチンではなくセルロースであることが特徴です。菌糸に似た構造を形成するため、卵菌が進化して菌界の生物になったと捉えられがちですが、菌類とは別の系統であると考えられています。ミズカビやツユカビなどがいます。

細胞性粘菌・変形菌類・卵菌の違いまとめ

細胞性粘菌・変形菌類と卵菌の違いは明らかです。前者2つはアメーバ運動をしますが、卵菌は菌糸を形成し動きません。

細胞性粘菌と変形菌類の違いは、名前の通り「細胞性」であるかどうかです。細胞性粘菌では、細胞同士が融合しておらず、細胞としての区別があります(多細胞生物のような挙動をする)。しかし、変形菌類は細胞同士が融合して多核細胞となっており、単細胞の生物となっています。

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