タンパク質の構造決定
タンパク質の構造を決定する方法としてX線結晶解析とNMR分光法(核磁気共鳴分光法)の2つがある。
X線結晶解析
タンパク質を結晶化し、X線を照射すると、規則正しく並んだタンパク質分子中の原子がX線を散乱される。散乱されたX線の波は、互いに干渉し合い、複雑な回折パターンをつくりだす。このパターンは非常に複雑であり、小さなタンパク質でも数万個のスポットが出現するため、コンピューターで計算を行う。
計算処理したデータと、アミノ酸配列の情報を生み合わせ、タンパク質の構造モデルを作りだすことができる。X線結晶解析では、非常に純粋なタンパク質の結晶を作る必要があり、それが手間で労力のかかる作業となっている。
NMR分光法(核磁気共鳴分光法)
NMR分光法(核磁気共鳴分光法)は、多くの原子核が磁気を帯びており、その振る舞いが周囲の原子の影響を受けるという点を利用した技術である。
精製したタンパク質(溶液)を強力な地場に置き、異なる波長の電磁波を照射する。すると、タンパク質の水素の原子核が、アミノ酸間やタンパク質の異なる部分間の距離に決定できるNMRシグナルを放出する。シグナルを分析し、距離を計算し、3次元構造を決定する。この方法ではタンパク質の結晶を作成する必要はない。
要するに、電磁波を照射することによって、核スピンが高エネルギー状態になり、やがて元に戻るという現象が起こる。このエネルギー差は原子の結合状態によって異なるため、エネルギー差と時間変化をコンピューターで分析するということをしている。
詳しい原理は下記のサイトがわかりやすい。