ちょっとディープな生物の世界

動物細胞と植物細胞の違い

動物細胞も植物細胞も真核細胞

真核細胞とは核膜に包まれた核を持つ細胞のことであり、動物細胞植物細胞の種類がある。真核細胞は膜で包まれた細胞小器官を持っており、動物細胞も植物細胞も殆ど同一の細胞小器官を持っている。しかし、明確な違いもあるため、混乱しないようにしよう。

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動物細胞と植物細胞の違い①葉緑体

当たり前ではあるが、葉緑体は植物細胞のみが持つ細胞小器官である。しかし、例外的にミドリムシは葉緑体を持っている動物細胞のような細胞(?)である(動物なのか植物なのか現時点で不明である)。

ミドリムシ(ユーグレナ)は、葉緑体をもって炭酸同化作用を行い、植物のようにでんぷん類を栄養として蓄えることができる。しかし、植物にある細胞壁がなく、先端についている鞭毛で泳ぎながら、体をくねくねと変形させる。また、光のない環境では、外部から食物を取り込んで生きていける動物的な要素を備えている。このため、植物学者はミドリムシ植物門のミドリムシ藻類に、一方動物学者は原生動物門のミドリムシ類に分類するというありさまで、いまだに動物か植物かの決着がついていない。

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また、たまに藻類を動物が食べて共生させている生物もいるが(ミドリゾウリムシなど)、あれは消化をしない特別な食胞のような膜に包んでいるため、自分の一部ではなく、どちらかというと消化途中(もしくは共生)と言えるだろう。

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クロレラ(藻類)は、ミドリゾウリムシの中で「Perialgal vacuole (PV) 膜」とよばれる宿主の食胞膜由来の膜に包まれています。そして、このPV膜は食胞膜とは異なって宿主のリソソームが融合しないので、内部に存在するクロレラは消化を免れています。しかし、ミドリゾウリムシを飢餓状態におくと、共生クロレラの一部は消化されることも観察されています。つまり、クロレラは非常食としても利用されているのです。

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動物細胞と植物細胞の違い②細胞壁

植物細胞のみが持つ構造として細胞壁がある。ちなみにこの細胞壁は細菌などの原核細胞が持つ細胞壁とは成分が異なるため注意すること。

植物細胞の細胞壁 セルロースが主成分
原核細胞の細胞壁 ペプチドグリカンが主成分

混乱しやすいポイント―中心体・液胞―

よく間違われやすいポイントとして、中心体液胞がある。

簡単な参考書等には、中心体は植物細胞にはないと書かれているが、一部の植物細胞(コケ、シダ、裸子)では、精子を形成する際に中心体が出現することが知られている。

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また、液胞は植物細胞のように大きく発達したものは動物細胞にはないが、電子顕微鏡レベルで観察できる極めて小さいものならば動物細胞にも存在する。

液胞はもともとは光学顕微鏡で観察可能な中身がからっぽなものを指しており、現在でも普通に液胞といった時にはこのようなものを指します。こういう意味での液胞は正常な動物細胞や未分化の植物細胞にはありません。しかし、細胞を電子顕微鏡で観察するようになりますと、大きさはとても小さいのですが、構造としては液胞とよく似たものが動物細胞にも植物細胞にもあることが分ってきました。

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違いをまとめると

動物細胞と植物細胞の違いをまとめると次のようになる。

葉緑体 植物細胞のみ
細胞壁 植物細胞のみ

(原核細胞の細胞壁とは成分が異なる)

中心体 動物細胞と一部の植物細胞
液胞 動物細胞と植物細胞
その他細胞小器官 動物細胞と植物細胞

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