師管はもともとは「篩管」だった
植物の維管束で栄養分が通る管を師管と言いますが、本来の漢字は篩管でした。「篩」は「ふるい」と読みます。意味は「網目を通して落とし、より分ける道具」です。
師管の細胞と細胞の間には、師板と呼ばれる構造があり、ここには小さな穴がたくさん開いています。この穴を通って栄養分は移送されていくのですが、その様子が「ふるい」のようだということで篩管と名付けられました。
しかし、篩という漢字は文科省の規定によって高校教科書では使うことはできないため、似ている「師」を使い「師管」となりました。漢字としては簡単になりましたが、意味は全くわからなくなってしまいました。
師管細胞は核もない特殊化した細胞
師管細胞は栄養分の通り道として特殊化した細胞で核が存在しません。師管細胞の原形質には、たくさんの糖類が溶け込み、通り道となっています。
師管細胞の周囲には伴細胞という細胞が存在します(こちらは核があります)。伴細胞の役割はまだよくわかってはいませんが、核を持たない師管細胞を補助していると考えられています。
師管は生きた細胞で道管は死んだ細胞
ちなみに道管は師管とは違い死んだ細胞で、細胞の中身も空っぽです。植物は1gのグルコースを合成するのに水を250ml必要とし、道管を通る水量もとても多いです。大量の水を輸送するのには、細胞質があるよりも、空っぽの管となってしまった方が効率的なのでしょう。
なるほど