活動電位と静止電位
ニューロンは細胞内の電位を変化させることによって信号を他のニューロンに伝えている。興奮していない細胞の電位を静止電位と呼び、興奮している細胞の電位を活動電位と呼ぶ。
静止電位
ニューロンは静止電位の状態の時はNa+ポンプがナトリウムイオンNa+細胞外に放出し、カリウムイオンK+が細胞内に流入している。しかし、K+はK+チャネルを通って細胞外に流出する。プラスのイオンが細胞外へ流出するため、細胞内が外部に対してマイナス(-70mv)に保たれている。
活動電位
ニューロンが刺激を受けると、Na+チャネルが開き、大量のNa+が細胞内に流入する。その結果、細胞内がプラスになる。すぐにNa+チャネルは閉じ、Na+ポンプによってNa+は細胞外へ運びだされ、K+は流入する。やがて、K+チャネルが開き、膜電位が元に戻る。
下図では、上段が静止電位。紫色がK+チャネル。中段が活動電位。K+チャネルが閉じ、ピンクのNa+チャネルが開く。下段が再度静止電位に戻っているところである。
興奮の伝導
ニューロンのNa+チャネルは膜電位依存性チャネルである。したがって一回興奮が起こると(膜電位が逆転すると)、そこから次々とNa+チャネルが開いていく。これを興奮の伝導という。
跳躍伝導
有髄神経線維(軸索が髄鞘に包まれている繊維)では、興奮がランビエ絞輪を跳躍して伝わるため無髄神経線維に比べて格段に早く伝わる(跳躍伝導)。ヒトの有髄神経では100m/sであるが、ヒトの無髄神経(交感神経)では2m/sしかない。
全か無かの法則
活動電位は刺激がある一定以上の強さ(閾値)でなければ、発生しない。これを全か無かの法則という。ニューロンはデジタル信号であることがわかる。
ニューロンの静止電位がマイナスである理由についてですが、
“負に帯電”と書かれてますが、その場合
細胞内に何かしらのマイナスイオンを持つ物質が存在するから負に帯電する、
と誤って連想してしまったのですが、
K+チャネルによってK+が細胞外(Na+多)に一方的に流入した結果、
内側から見て-70mvの”電位差”が生じる、
ということで合ってますでしょうか。
外側からみてじゃね?
確かに考えてみると「外側から見て」が正しいと思います。
>MASAMUNEさん
コメントありがとうございます。
「K+チャネルによってK+が細胞外(Na+多)に一方的に流入した結果、
内側外側から見て-70mvの”電位差”が生じる、」この理解が正しいと思います・w・
誤解を招きそうな表現でしたので、ブログ本文は訂正いたしました。
一応wikiの引用しておきます。
「静止膜電位は負であり、おおよそ-70mV程度である。このことは、細胞外に陽イオンが比較的多い(もしくは細胞内に陰イオンが比較的多い)ことを示唆している。実際には前者が正しい。前述したNa+-K+交換イオンポンプは3個のナトリウムイオンと2個のカリウムイオンを交換しているだけなので膜電位の変化にはそれほど大きく寄与しないが、外にくみ出されたナトリウムイオンが細胞内に入り込むためのナトリウムチャネルは通常不活性化されており、開いていないのに対し、カリウムが細胞外に流出するカリウムチャネルの中には、通常開きっぱなしのものが存在する。つまり、カリウムイオンは汲み入れても汲み入れても、ある程度は細胞外に漏れ出て行ってしまうのである。これが、静止膜電位が負になってしまう主な原因である。」