横紋筋と平滑筋
筋肉には横紋筋と平滑筋の2種類がある。横紋筋は骨格筋で使われており、自分の意志で動かすことができる筋肉(随意筋)である。例外として心臓の心筋は、不随意筋であるが横紋筋である。一方、平滑筋は不随意筋であり、内臓筋として使われている。
筋肉の形状
骨格筋は円柱状であり、多核細胞なのが特徴である。心筋は円柱状であるが、枝分かれしており、単核である。内臓筋は紡錘型であり、単核である。
骨格筋の構造
筋肉は筋繊維と呼ばれる細胞の集まりである。筋繊維は円柱状の多核細胞である。筋繊維の中には筋原繊維が束になっており、横紋の模様がある。明るいところを明帯、暗く見えるところを暗帯と読んでいる。筋原繊維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントが折り重なる構造をとっている。明帯の中央にはZ膜と呼ばれる仕切りがある。Z膜とZ膜の間をサルコメア(筋節)と呼ぶ。
骨格筋の収縮
- 筋肉が刺激を受けると、ATPのエネルギーを使ってアクチンフィラメントにミオシンの頭部が解離する。
- ATPが加水分解されると、ミオシンの角度が変化し、アクチンフィラメントに結合する。
- ADPとリン酸を放出すると、角度が変化し、アクチンフィラメントを引き寄せるような運動をする。
- ATPが再度結合すると、アクチンフィラメントとミオシンの頭部が離れ、角度も元に戻る。
これらの反応を繰り返すことで、筋肉の収縮が行われる。これを滑り説と呼ぶ。
http://csls-db.c.u-tokyo.ac.jp/
滑り説は1957年に提唱され、大阪大学の柳田敏雄はATP1分子の分解あたり最高60nmまでアクチンフィラメントが動くと主張した。
ある。1991年になって広く認められるに至った。
トロポニン、トロポミオシン
アクチンフィラメントは、アクチンの他にトロポニン、トロポミオシンと呼ばれるタンパク質で構成されている。トロポニンとトロポミオシンは弛緩時にミオシンとアクチンが結合するのを防ぐ役割を持っている。
- 筋肉の弛緩時は、トロポミオシンがアクチンフィラメントのミオシンと結合する部分を隠している。そのため、ミオシンとアクチンは結合できない。
- 筋小胞体が運動神経から刺激を受けると、カルシウムイオンを放出する。カルシウムイオンはトロポニンと結合し、トロポミオシンをアクチンから外す役割を持っている。
- トロポミオシンが外れると、アクチンとミオシンが結合し、筋収縮を行うことができる。
灰色の膜上のものが筋小胞体http://www.austincc.edu/