原始地球の状態
原始地球の大気成分は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、水蒸気などであった。気候は激しい雨が降っており、地殻変動が起こり、海洋が形成され始めていた。太陽からの強い紫外線、宇宙線が地表に降り注いでいた。
始めの生命は化学進化で生まれた
無機物が有機物へと変化していく過程を化学進化と呼ぶ。ミラーの実験では、原始大気を再現した中で放電を繰り返すとアミノ酸などの有機物が生成されることが証明された。
生命が生まれた場所:熱水噴出孔
高温の熱水を吹き出す穴を熱水噴出孔と呼ぶ。現在でも海底に存在している。熱水噴出孔付近では、メタン、アンモニア、水素、硫化水素などの濃度が高く、化学進化が進んだと推測されている。
コアセルベート
コアセルベートとは液状の粒子であり、これが生命の始まりであるとオパーリンが主張した。
始原生物の進化
生命の始まりはRNAであったと考えられており、RNAは遺伝子としてだけではなく、様々な機能や触媒作用を持っていたとされている。この考えをRNAワールドと呼ぶ。
現在ではtRNAやrRNAなど様々な機能を担っている。その後、様々な触媒作用はタンパク質が行うようになり、遺伝情報もRNAではなく、安定しているDNAに変化していったと考えらている。この考えをDNAワールドと呼ぶ。
1980年代初め、RNAを研究していたチェック博士は、ある種のRNAも、立体構造のとり方次第ではタンパク質に似た触媒機能があることを見つけた。これは実に大発見だった。酵素のような触媒となるのはタンパク質だけだと考えられていたからである。RNAにもメッセンジャー以上の機能があるのなら、それはすごいことである。つまり生命の初期段階では、RNAが情報を担い、同時に酵素機能をも担うような一人二役だった。その後、情報の保全にはより安定したDNAが生み出され、酵素のような細胞機能にはタンパク質が作られた。RNAからDNAを作り出すことは実際上、可能である。RNAからタンパク質を作り出すことは、そう簡単なことではないが、もしRNAが先にあったとするなら、タンパク合成のための仕組みを発達させることは全く不可能なことではないだろう。現在も、RNAからタンパク質を作るためには、資材としてのアミノ酸とそのアミノ酸を運び、RNAの情報と照合する仕組みを細胞はもっているが、そこでもRNAが使われている。だからRNAさえあれば、生命は出発することができたのだ。
生命誕生についての3つの仮説
上記では原始地球の海底と記述したが、厳密に言うと生命の誕生の場所については3つの仮設が提唱されている。上記で紹介したものは仮説2であり、現在では一般的な考え方である。
仮説1:生命は宇宙空間から飛来した
パスツールによって自然発生説が否定された後に提唱された仮説である。しかし、研究が進むにつれて原始地球はパスツールの実験とは異なる環境であったことなどが考えられ、環境によっては自然発生が起こりうるとの考えが一般的になった。
しかし、オーストラリアのビクトリア州マーチソンに落下した隕石(マーチソン隕石)や南極で採取される隕石からはアミノ酸や核酸の塩基が発見されるなど、宇宙から生命の材料が供給されたとの考え方もある。
仮説2:原始海洋で誕生した
1953年のミラーの実験では単純な物質の混合物に放電すると有機物が合成された。同様のことが原始地球においても起こったとの考えがある。
特に熱水噴出孔は、原始地球と似た環境であると考えられており、研究が盛んに進められている。ロストシティーと呼ばれる熱水噴出域では、低分子の有機物が非生物敵に合成されていることが発見された。
仮説3:原始海底で誕生した
アミノ酸からポリペプチドが自然的に合成されるためには、高圧力・高アンモニア濃度が必要となる。原始地球が誕生した後に、単純な有機物が沈殿していき、圧縮される中で生命に必要な物質が合成され、生命が誕生したとの考えがある。仮説2とは異なり仮説3はさらに地面の下である。
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生命の誕生は恐らく一度だけではなかった
現在では、生命の誕生は一度だけではなかったと考えられており、生命の誕生と絶滅がおそらく繰り返されただろう。その中で、1種類の生命が生き延びることができ、現在の全生物種の祖先となったと考えられている。