ちょっとディープな生物の世界

核酸(DNAとRNA)の構造

ヌクレオチド

核酸はヌクレオチドが連なった高分子化合物である。ヌクレオチドはリン酸、デオキシリボースまたはリボース(糖)、塩基からできている。デオキシリボースの炭素には1~5までの番号が振ってあり、1番目の炭素が塩基と結合し、5番目の炭素がリン酸と結合している。

プリン塩基とピリミジン塩基

塩基は構造の種類によってプリン塩基ピリミジン塩基の2つに分けることができる。プリン塩基にはアデニン、グアニン、ピリミジン塩基にはチミン、ウラシル、シトシンがある。プリン塩基とピリミジン塩基が水素結合をする。

プリン、ピリミジンとは塩基に含まれている環状構造の名称である。

https://kanri.nkdesk.com/

DNA

DNAのヌクレオチドには、デオキシリボースが使用されている。塩基の種類は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類である。ヌクレオチド同士はホスホジエステル結合を形成し、ヌクレオチド鎖となっている。

2本のヌクレオチド鎖が平行に並び相補的な塩基同士が結合してはしご状になっている。アデニンはチミンと、グアニンはシトシンと結合する性質を持っており、これを塩基の相補性と呼んでいる。塩基同士は水素結合でゆるく結ばれている。A-T間は水素結合が2箇所、G-C間は3箇所である。鎖の向きは左右で逆向きになっているので注意。

DNA

http://education-portal.com/

二重らせん構造

上記のはしご状のヌクレオチドがねじれてらせん構造をとっている。

DNA1

DNAのGC含量

DNAに含まれるGとCが含まれる割合をGC含量と呼ぶ。DNAの場合、GとCが対になっているため割合は等しい。同様の理由でAとTの割合も等しい。しかし、(A+T)/(G+C)の割合は種によって異なる。

また、アデニンとチミンは水素結合2つ形成し、グアニンとシトシンは水素結合を3つ形成する。そのため、GC含量が大きいほど結びつきが強くなり熱やアルカリにも強くなる。

http://knowgenetics.org/

DNAの変性とアニーリング

DNAは熱やアルカリによって塩基同士の水素結合を切断し、2本鎖を1本鎖にすることができる。これをDNAの変性と呼ぶ。しかし、変性したDNAを冷却したり、中和したりすると、相補的な結合を形成し2本鎖に戻る。これをアニーリングと呼ぶ。この性質はPCR法で利用されている。

RNA

RNAのヌクレオチドには、リボースが使用されている。塩基の種類は、アデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)、シトシン(C)であり、1本鎖である。

コラム:DNAの塩基はアルカリ性?

化学で言う塩基とはアルカリ性(塩基性)物質のことを指し、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどを思い浮かべるだろう。生物学で言う塩基とはいわゆる核酸塩基のことを指す。核酸塩基とはアデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシルなどで、これらの物質も単独ではアルカリ性を示す。

窒素原子上の孤立電子対のため、塩基性になる。

https://ja.wikipedia.org/

本来ならば「核酸塩基」と呼んで他の塩基と区別しなければならないのだが、省略してただ「塩基」だけ呼ばれている。この塩基がデオキシリボース、リン酸と結合してDNAを構成すると、名称:デオキシリボ核酸の示すように物質全体としては酸性となる。

9 COMMENTS

真っこ内

初めてのコメントでいきなりなのですが、総ヌクレオチドの数とDNAの長さを求める問題があったのですが、解き方を聞いてもいまいちわからなかったのでここで質問させてください。
問題は
ある最近のDNAの分子量は2.6×10⁹、DNA中の1対のヌクレオチドの平均分子量は6.6×10²、10ヌクレオチド対の長さは3.4nm(3.4×10‐⁶nm)である.
問1 このDNAの総ヌクレオチドの数は何個か。有効数字2桁で、8.7×10⁶のような形で答えよ。
答 7.9×10⁶こ
問2 このDNAの長さは何㎜か。少数第一まで求めよ。
答 1.3㎜
となっています。 問1は式が2.6×10⁹/3.3×10²というのわかるのですがそこでつまづいたまま今に至ります。お忙しいとは思いますが、解説していただけると幸いです。よろしくお願いします。
そして、このホームページの内容にすごく助けられました。
ありがとうございました。

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名無し

↑物化選択者ですが偶然見かけたので解答します。
「10ヌクレオチド対の長さは3.4nm(3.4×10‐⁶nm)である.」
とあるので,
・ヌクレオチド対:長さ = 10:3.4×10‐⁶mm …(i)
また,
「DNA中の1対のヌクレオチドの平均分子量は6.6×10²」
とあるので,
・ヌクレオチド対:分子量 = 1:6.6×10² …(ii)
(i)(ii)から,
長さ:分子量 = 3.4×10‐⁷mm:6.6×10²
なので,DNAの長さは,
(DNAの分子量)×(長さ)/(分子量) = 1.339… =1.3mm …(答)
〜〜〜
国立大学の入試が近いですが,お互い頑張りましょう。

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真っこ内

管理人さん有難うございます!
非常に助かりました。答えに質問を重ねるようで申し訳ないのですが、
こういう解き方もある、みたいな感じで
2.6×10⁹/3.3×10²×1/2×3.4×10⁻⁶/10≒1.3㎜というのをきいたのですが、
なぜここで1/2がでてくるのか、この計算式のいみがほわほわーとしか理解できずじまいです。
2日連続で申し訳ありませんが、教えていただけると幸いです。
名無しさんも教えてくださってありがとうございます。 国立の入試、怒力の限りを尽くしましょう!

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管理人

>真っこ内さん
返信ありがとうございました・w・式の前半の・・・
2.6×10⁹/3.3×10²×1/2
つまり、
2.6×10⁹/6.6×10²
(DNA全部の分子量 / ヌクレオチド対1つの分子量 = ヌクレオチド対の数)
ということですね。式の前半では、ヌクレオチド対の数を求めています。3.3×10²はヌクレオチド1つの分子量なので、2倍にすることでヌクレオチド対1つ(つまりヌクレオチド2個)の分子量にしています。
ヌクレオチド対10個の長さは3.4×10⁻⁶ですね。つまり、ヌクレオチド対1個の長さは3.4×10⁻⁶/10です。この数字を個数と掛け合わせると・・・
(ヌクレオチド対の個数)×(ヌクレオチド対1個の長さ)
(2.6×10⁹/3.3×10²×1/2)×(3.4×10⁻⁶/10)=1.3mm
となります・w・わからないところがあったら何でも聞いてくださいね。

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管理人

【問1について】
「1対のヌクレオチド」=「2つのヌクレオチド」という意味なので、式は真っこさんが立てたもので正解ですね。
2.6×10⁹ / (6.6×10²÷2)= 2.6×10⁹/3.3×10²
(全体の分子量/(1つのヌクレオチドの分子量)=ヌクレオチドの個数)
計算すると、0.79×10⁷になるので、問いで指定されている形に直して、7.9×10⁶にします。
【問2について】
名無しさんが解答してくれている通りです。ありがとうございました・w・!一応補足説明します。
①まずDNAが何対のヌクレオチドから出来ているかを計算します。
DNA全体の分子量 / ヌクレオチド1対の分子量 = ヌクレオチド対の数
2.6×10⁹ / 6.6×10²
※最後に合わせて計算するのでひとまずこのままにしておきましょう。
②ヌクレオチド10対の長さは問題からわかっているので、1対の長さを求めます。
10対で3.4×10‐⁶ mmなので、1対は3.4×10‐⁷mmとなります。
③ヌクレオチド対の数は①で計算したので、②と掛け合わせます。
(2.6×10⁹ / 6.6×10² )×3.4×10‐⁷mm = 1.339・・・mm = 1.3mm
また不明な点があったらいつでもコメントください。

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真っこ内

ありがとうございました!
そういうことだったんですね・・・。
感謝です(^-^)

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やり直し学習中

 中年ですが、NHK高校講座を見ながら、こちらも拝見させていただいております。こちらのホームページは、内容が画像とともに簡潔にまとまっていて、わかりやすいです。
 本題ですが、RNAの説明で、糖の名前が「シリボース」となってしまっています。「シ」を消し損ねたのだと思いますが…。初学者の方もご覧になっているかもしれないので、修正をお願いいたします。

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管理人

>やり直し学習中さん
ご指摘いただき大変ありがとうございました!誤字が多々あるので、またご指摘いただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いいたします。

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