突然変異
遺伝子に生じた永続的な変化を突然変異と呼ぶ。紫外線、放射線、化学物質などによって遺伝子の塩基配列は絶えず破壊されている。普通は破壊された遺伝子を修復する機構が働くため、体に異常はきたさない。しかし、その程度が大きいとカバーしきれず、細胞が癌化したりなどする。生殖細胞に突然変異が生じた場合は、子孫に遺伝する。
遺伝子突然変異
DNAの塩基配列の変化によって起こる突然変異。置換しても指定されるアミノ酸が変化しない場合もあるが、塩基が欠損したり、挿入されたりするとタンパク質配列が大きく変化する。
鎌状赤血球
DNA塩基の1つの置換によって、ヘモグロビンタンパク質の構造が大きく変化し、赤血球が鎌状になる。表面積が小さいため、ガス交換効率が悪く貧血を起こしやすい。鎌状赤血球はマラリアに対する耐性が強いため、アフリカ地域に多い。保因者はヘテロ(相同染色体の内、片方が鎌状、片方は普通)の場合は生存できるが、ホモになると重度の酸欠で成人前に死亡してしまう。
1つの塩基が異なるだけで下のような鎌状赤血球となる。鎌状になることにより細胞内に寄生するマラリアの幼虫が押し殺されると考えられており、鎌状赤血球保持者はマラリア耐性を持っている。
アルビノ
メラニン色素を生成する遺伝子が働かないため、真っ白になる。紫外線にめっぽう弱い。
ショウジョウバエの眼の色
眼の色を赤くする遺伝子が働かないと、眼が白色になる。
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一塩基多型
塩基が変化しても、アミノ酸が変化しない場合や、そこまで大きな影響がでない場合がある。特にイントロンの部分での突然変異はあまり影響がない。そのような場合、同種の個体間において、1つだけ塩基配列が違うということがよく起こる。このような1塩基単位での違いを一塩基多型(SNP)と呼ぶ。SNPが医療における薬の効果などに影響が出るとされている。
薬剤がうまく働くことのできないようなSNPがあると、投薬量を増やすなどの処置が必要となる。そこで、投薬前にこのような遺伝子のSNPを検査し、その
遺伝子の型から判断して適切な薬剤の投薬量を決定するなどして、副作用を回避し、効率的な治療効果を得ようとする医療、すなわち、遺伝情報による患者個々
の体質に応じたより適切な医療は「テーラーメイド医療」、「オーダメイド医療」、
あるいは「個別化医療」と呼ばれており、これによって患者が無用の副作用によって苦しむことが減り、また、無用な副作用への対処や不適切な投薬を減らすこ
とによって医療費削減への効果も期待できる。このように、SNPを利用した診断の実用化と普及が大いに期待されている。
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DNAの反復配列とDNA多型
突然変異原
突然変異(DNAの破壊)を引き起こす原因となるものを突然変異原と呼ぶ。放射線や化学物質があり、実験等で用いれば人工的に突然変異を引き起こすことができる。自然界では癌化の原因ともなっている。
放射線 | 紫外線、X線、γ線、α線、β線 |
化学物質 | アルキル化剤:ニトロソ化合物、マスタードガス
塩基類縁体:ブロモデオキウリジン アクリジン色素 活性酸素 |
環境変異と突然変異の違い
周囲の環境の影響によって生じた形態等の変化を環境変異と呼ぶ。例えば、ずっと走る訓練をしていたら長距離を走ることができる肉体(筋肉)を手に入れた、等の変化である。これは遺伝子そのものが変化したわけではなく、筋肉の遺伝子がよく発現された結果であると言える。遺伝子の塩基配列は変化していない。
一方、突然変異(遺伝的変異)とは遺伝子の塩基配列が変化することによって生物の形質等が変化する現象である。生殖細胞における突然変異は、環境変異とは異なって子孫に遺伝する。
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