Nou-darake遺伝子とは
Nou-darake遺伝子とは、プラナリアで発見された遺伝子である。この遺伝子を欠損させると、頭部だけでなく全身に脳が形成されることからこの名称(脳だらけ)がつけられた。阿形清和氏によって発見された。
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Nou-darake遺伝子の作用
Nou-darakeタンパク質(NDKタンパク質)は受容体としての構造を持っており、ここに受容体結合因子が結合することができる。通常NDKタンパク質は頭部領域に特異的に存在し、受容体結合因子と結合する。その結果、受容体結合因子の存在を頭部領域に限定することとなり、受容体結合因子が他の領域に拡散することを防いでいる。
NDK遺伝子を欠損させると、受容体結合因子が頭部だけでない領域に拡散され、受容体結合因子はFGF受容体と呼ばれるタンパク質に結合し、神経細胞への分化が促進される。
Nou-nashi遺伝子とは
Nou-darake遺伝子に続いて、Nou-nashi遺伝子が発見された。これはヘッジホッグと呼ばれる物質の受容体をコードしている遺伝子である。受容体はヘッジホッグと結合することによって、周囲への尾の形成を阻害する働きを持っている。また、ヘッジホッグは神経を介して体の尾の方へ輸送されている。
通常では尾でのみ受容体が発現しているのだが、Nou-nashi遺伝子を欠損すると受容体が無くなり、ヘッジホッグが尾部以外でも働き、通常は頭を形成する部分に尾を形成したりする(つまり脳なし)。
この研究の意味とは?
体には頭・尾などを決める極性があるということを証明した実験である。「体の極性」という概念は、ノーベル賞学者のトーマス・ハント・モーガンが提唱したものである。モーガンは、プラナリアの体を切って頭のあった方からは頭を、もともと尾のあった方からは尾を再生することを観察し、生物の体には磁石と同じような性質があるとして、1903年に『体の極性』という概念を発表した。
これらの研究は再生医療などにおいて、ヒトに存在する体の極性を知る重要な手掛かりになると考えられている。