ちょっとディープな生物の世界

体液とその働き-血液・組織液・リンパ液-

体液の種類

生物学的には、生体の組織間や体腔内、管などの中を満たしている液体を体液と呼ぶ。

一般的には汗、分泌液なども体液と呼ぶこともあるが、生物学の範囲では体液として扱わないので気を付けること。生物学における体液は血液組織液リンパ液の3つのみである。

体液 血液
組織液
リンパ液

血液・組織液・リンパ液の違い

結果的には循環しているので成分的には似たところがあるが、次のような違いがある。

  • 血液:血球(細胞)と血しょう(液体)を含む。
  • 組織液:血管から血しょうが沁みだした液体。組織の細胞からの老廃物が多く含まれる。
  • リンパ液:組織液がリンパ管に入り込んだ液体。免疫との関わりがあり、白血球を含む。

血液

血液は血球血しょう(液体成分)からできており、血球には赤血球・白血球・血小板がある。

血液 血球 赤血球
白血球
血小板
血しょう

血球はいずれも骨髄の造血幹細胞(Hematopoietic stem cell)から生まれた細胞である。

 

赤血球

赤血球にはヘモグロビンが含まれている。ヘモグロビンはヘム(鉄を含む色素)グロビン(タンパク質)で構成されている(下画像)。鉄は酸素と結合したり、離れたりしながら酸素を体中に運搬する。骨髄で作られ、ひ臓と肝臓で破壊される。赤血球はミトコンドリアを持たないため、呼吸を行わない。

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赤血球は哺乳類は無核であり、それ以外の生物の赤血球は有核である。

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また、ヘムに鉄ではなく銅が含まれていた場合、血液は青色になる(水に溶けている銅イオンの色は青のため)。銅が含まれているものはヘモグロビンではなく、ヘモシアニンと呼ぶ。

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白血球

白血球はアメーバ運動をし、細菌などを食作用によって破壊する。

 白血球には様々な種類がいるのが特徴である。白血球は骨髄で作られ、ひ臓で破壊される。また、白血球の一種であるリンパ球は免疫に関与し、抗体生産を行う。

血小板

血小板は巨大細胞(巨核球)の破片であり、無核である。出血した際にかさぶたを作る働きを持つ。骨髄で生まれ、ひ臓で破壊される。

血しょう

血しょうは血液の中の無形の液体成分である。90%が水分であるが、タンパク質(血液凝固因子なども含む)、脂質、グルコース、無機塩類、尿素、ホルモン、酸素、免疫グロブリン(抗体)なども含んでいる。

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組織液

血液の血しょうが毛細血管から組織へと漏れたものを組織液と呼ぶ。成分は血しょうと変わりない。組織液はリンパ管へと吸収される。

リンパ液

組織液がリンパ管に入ったものをリンパ液と呼ぶ。リンパ管には節があり、それをリンパ節と呼ぶ。リンパ節には白血球であるリンパ球が多く存在しており、リンパ液を流れる病原体などを駆除する働きを持つ。

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リンパ管は最終的に血管(左鎖骨下静脈)につながっており、リンパ液は最後には血しょうにもどる。

リンパ管は心臓のようなポンプを持っておらず、骨格筋の運動によってなだらかな流れを作っている。

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