細胞膜の構造
リン脂質には疎水部と親水部があり、疎水部同士がくっついて細胞膜が構成されている。これをリン脂質二重層と呼ぶ。疎水部になじむ脂溶性分子などは細胞膜を通りやすいが、イオンなどの水に溶ける物質は細胞膜を通過できない。また、酸素や二酸化炭素、水などの小さな分子は細胞膜を通過できるが、タンパク質などの大きな分子は通過できない。
ちなみに、この上下のリン脂質はフリッパーゼと呼ばれる酵素によって移動可能である。上下のリン脂質の数に差が生じた場合などには、フリッパーゼによって調整される。
リン脂質の足はなぜ折れているの?
リン脂質の分子式を見ていると、折れている部分には炭素同士の二重結合があることがわかる。まっすぐの所は一重結合である。この二重結合が足の「折れ」を作り出している。
細胞膜の種類
リン脂質で出来た生体膜を細胞膜と呼ぶ。細胞内には細胞全体を取り巻く原形質膜と、細胞小器官(核、ミトコンドリア、小胞体)などを構成する膜がある。それらの総称を細胞膜と呼ぶ。割合は以下の通りである。
原形質膜 | 5% |
細胞小器官の膜 | 95% |
細胞膜の物質の透過
疎水部になじむ脂溶性分子などは細胞膜を通りやすいが、イオンなどの水に溶ける物質は細胞膜を通過できない。また、酸素や二酸化炭素、水などの小さな分子は細胞膜を通過できるが、タンパク質などの大きな分子は通過できない。
選択的透過性
細胞膜には様々なタンパク質が埋め込まれており、細胞内外の物質の輸送に関与している。チャネル、輸送体、ポンプは適合する物質のみを選択して透過させる。このような性質を選択的透過性と呼ぶ。
受動輸送
エネルギーを使わないで、濃度勾配によって物質を輸送させる方法を受動輸送と呼ぶ。拡散、チャネル、輸送体、アクアポリンなどの種類がある。
①拡散
細胞膜を小さな分子や、脂溶性分子が濃度勾配にしたがって細胞膜を通過する現象。
②チャネルと輸送体
チャネルはイオンなどを通す膜タンパク質であり、開いたり閉じたりする。輸送体はアミノ酸や糖などが結合すると、構造が変化し、細胞内に物質を取り入れるタンパク質である。
③アクアポリン
水分子が透過するチャネルである。
能動輸送
濃度勾配に逆らってエネルギーを使う輸送を能動輸送と呼ぶ。ナトリウム・カリウムポンプは細胞内にカリウムイオンを2個取り入れ、ナトリウムイオンを3個細胞外へ排出する。この輸送にはATPが消費されるため、ナトリウムポンプはATP分解酵素としても働く。
なぜ細胞内にカリウム、細胞外にナトリウムを輸送するのか
なぜ生命が細胞内にカリウムが多いのかについては、進化と密接な関係があると考えられている。その説の1つに、原始生命誕生の際には、海は現在のようにナトリウム濃度が高くなくその名残を遺しているとの考え方もある。
地球化学の分野では、生命が誕生したころの海はナトリウムを含んでいなかったという説もあるようです(これについては、地球化学の専門家にお尋ね下さい)。生物学でも、植物や菌類、あるいは多くの細菌は、ナトリウムを生命維持に必要としませんから、それは、生命が生まれた頃の海がナトリウムを含んでいなかった名残かもしれません。
細胞膜を使う輸送
細胞膜を使って物質を取り込んだり(エンドサイトーシス)、細胞膜に包んで物質を細胞外へ放出したりすることができる(エキソサイトーシス)。
原形質膜(細胞を取り囲む膜)のリン脂質は、エクソサイトーシスによって供給され続け、またエンドサイトーシスによって構成するリン脂質は減少し続けている。
白血球などはエンドサイトーシスで異物を細胞内に取り入れ、分解している。
[…] 細胞膜 […]
中年ですが、生物の復習をはじめてみました。
見やすいサイトでありがたいです。
以下に引用した記述なのですが、「疏水部」の「疏」が常用漢字でないので、「疎」にしたほうが良いと思います。(高校生向きにはそのほうがよいかと…)
>細胞膜の構造
>リン脂質には疏水部と親水部があり、疏水部同士がくっついて細胞膜が構成されている。これをリン脂質二重層と呼ぶ。疏水部になじむ脂溶性分子などは…
コメントいただきありがとうございます。
全く気が付きませんでした!ご指摘いただきありがとうございます。
また何かありましたら、コメントいただければ幸いです・w・
どうぞよろしくお願いいたします。
this is good. i can understand it and i knew it what is cell membrane and those system.
[…] 参考資料 ・細胞膜の構造と物質の輸送(受動輸送・能動輸送) バイオハックhttp://manabu-biology.com/archives/42006119.html […]