生物の特徴

動物の組織-神経組織-

神経組織の種類

神経組織は、神経細胞(ニューロン)と、グリア細胞からなる組織である。

神経細胞(ニューロン)

神経細胞のことを別名でニューロンと呼ぶ。ちなみに神経線維とはニューロンから出ている長い突起(軸索)のことを指す。軸索の末端は、他の神経細胞などと密着している。

グリア細胞

別名を神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)と呼ぶ。ニューロンを支持し、血管から得た栄養分をニューロンに供給する。ニューロンの軸索に巻き付いているシュワン細胞もグリア細胞の一種である。

origo

動物の組織-結合組織-

結合組織の種類

結合組織は、細胞間物質と細胞からなる組織である。軟骨組織、骨組織、血液、繊維性結合組織がある。名前の通り、からだの結合や組織を支持することを役割とする。

結合組織

軟骨組織

軟骨細胞とゲル状の軟骨基質によって構成されている。軟骨基質にはコラーゲンが多く含まれ、弾力があり、骨と骨の間のクッション(椎間円板など)として役立っている。

椎間板

骨組織

骨細胞と、カルシウム塩を多く含む硬骨によって構成されている。骨細胞は細胞質を長く伸ばし、互いに樹状に結合している。骨には血管の通り道であるハーバース管が形成されている。

骨細胞

血液

血管を埋める血球を多量に含んだ液体。

繊維性結合組織

コラーゲン繊維を多く含み、多くの組織の間に存在する。コラーゲンを産生する繊維芽細胞などが含まれている。皮膚の真皮靭帯などが例として挙げられる。

繊維性結合組織

動物の組織-筋組織-

筋組織の種類

筋組織は、筋繊維と呼ばれる収縮機能を持つ細胞からなる組織である。筋肉の種類として骨格筋、心筋、平滑筋内臓筋の3つがある。下で紹介している動画は一部閲覧注意有り。

筋肉

横紋筋と平滑筋

筋肉は横しまの模様(横紋)が見られるか見られないかで横紋筋平滑筋に分類されている。骨格筋、心筋は横紋筋(横しまが見られる)であるが、内臓筋は平滑筋(横しまが見られない)である。 

筋肉階層

骨格筋(横紋筋)

多数の細胞が融合した多核細胞である。自分の意思で動かせる筋肉(随意筋)である。見える所にある(?)筋肉は骨格筋である。

心筋(横紋筋)

単核細胞が集まった筋肉である。枝分かれした構造を持つ。自分の意思で動かすことができない(不随意筋)。 下動画はカメの心臓(閲覧注意)。

内臓筋(平滑筋)

紡錘の形をした単核細胞が集まった筋肉である。 不随意筋である。

 

動物の組織-上皮組織-

上皮組織の種類

上皮組織は、役割によって保護上皮、吸収上皮、腺上皮、感覚上皮の4つに分類することができる。また、上皮は構造によっても分類することができ、単層上皮(へん平、下図右中央)、単層上皮(円柱、下図右下)、絨毛上皮(下図左上)、多層上皮(下図右上)がある。

上皮

保護上皮

体表や血管の上皮細胞。保護する役割を持つ。皮膚の表皮などがある。下の画像では色が濃い上部が角層、その下のやや色が濃い部分が表皮である。

表皮

吸収上皮

微絨毛(細かい毛のような構造)を持っており、 表面積を大きくして物質を吸収しやすくしている。腸の上皮などがある。

絨毛

腺上皮

腺を形成している上皮。分泌機能を持っている。唾液腺、汗腺、乳腺などがある。

唾液腺

感覚上皮

感覚毛などを持ち、神経系に刺激を伝える役割を持つ。 聴細胞によって構成されている上皮(耳のコルチ器の上皮)などがある。下の画像では聴細胞が規則正しく並んでいる。 

chosaibou 

細胞の大きさ

細胞の大きさ、生物の大きさ

細胞と言えども大きさは千差万別で、ニワトリの卵も1つの細胞であるし、大腸菌などは肉眼ではとても見えない1つの細胞である。大体イメージとしては、どの生物も卵は体細胞に比べれば非常に大きく、真核細胞(体細胞)、原核細胞と並び、さらに小さい物質(細胞ではない)としてウィルスが挙げられる。

細胞の大きさ

単位について

-3乗ずつ増加していくことを覚えておこう。
mm = 0.001m (10の-3乗)
μm = 0.000001m (10の-6乗)
nm = 0.000000001m (10の‐9乗)

3mm  ヒキガエルの卵

180~300μm ゾウリムシ

140μm ヒトの卵

55μm ミドリムシ

60μm ヒトの精子 

20μm ヒトの肝細胞

肝細胞

6~20μm ヒトの白血球

6~9μm  ヒトの赤血球

2~4μm 大腸菌

5μm 葉緑体

0.5~2μm ミトコンドリア

ミトコンドリア

300nm タバコモザイクウイルス

タバコモザイク

200nm T2ファージ

T2

100~200nm HIV

HIV

80~120nm インフルエンザウィルス 

ウィルス8

15~20nm リボソーム

 

原核細胞・真核細胞・ウィルス

原核細胞・真核細胞・ウィルスの違い

生物は細胞によって構成されている(細胞説)。また、細胞は2種類に分類できる。DNAが核膜に包まれていない細胞(原核細胞)と、核膜に包まれている細胞(真核細胞)である。また、タンパク質などにDNAやRNAが包まれた物質をウィルスと呼ぶ。ウィルスは増殖能力・代謝能力を持たないので、細胞ではない。つまり、ウィルスは生物学的定義では「非生物」といえる。

原核細胞・真核細胞

http://blogs.yahoo.co.jp/

原核細胞

原核細胞は非常に多様であるが、核膜を持たず、ミトコンドリアや葉緑体などを始めとする細胞小器官も持たないのが特徴である。微小管も持たず、細胞質流動を行わない。リボソームは存在する。原核細胞からなる生物を原核生物と呼び、生物数が非常に多く、真核生物の数十倍に達すると言われている。

大腸菌

http://ja.wikipedia.org/wiki/

本体のDNAの他に環状DNAであるプラスミドを有する。プラスミドは、他の個体と遺伝子を交換するのに用いる。また、バイオテクノロジーの分野では、このプラスミドに遺伝子を組み込んで、遺伝子組み換え大腸菌を作成したりする。

プラスミド
http://nepad-abne.net/

 大腸菌やシアノバクテリア(藍藻)などの細菌類が原核生物である。下画像はネンジュモ(シアノバクテリア)である。シアノバクテリアには多くの種類があり、そのうちの1つがネンジュモである(詳しくはこちら)。酵母菌は「菌」との名称であるが、細菌ではなく真核生物である。また、藻類の中でも、藍藻類(シアノバクテリア)のみが原核生物で、他は真核生物である。

siano

真核細胞

核膜でDNAを保護している細胞を真核細胞と呼ぶ。真核細胞には様々な細胞小器官(「細胞の構造」参照)が存在する。また、原核生物以外の生物はすべて真核生物である。DNAが安定しているが、細胞分裂の速度は原核生物に比べて圧倒的に遅い。

細胞

ウィルス

細胞膜やタンパク質の殻に核酸(DNA or RNA)が入った物質(非生物)をウィルスと呼ぶ。DNAを他生物の細胞に導入し、自らの複製を作らせて増殖する。

 

下画像上段はエイズウィルス、下段はT2ファージである。他にも多種多様なウィルスが存在する。

HIV

共生説

ミトコンドリアと葉緑体の起源

どの細胞もかつては原核生物であり、細菌に似たものだったと考えられている。原核生物同士が共生して、ミトコンドリアや葉緑体になったという説を共生説という。リン・マーギュリスによって提唱された当初は批判を浴びたこの考えも、今では常識として受け入れられている。

共生説

http://sarahfinolbio.weebly.com/

共生の証拠として、ミトコンドリアや葉緑体は2重膜であるということと、独自のDNAを持っていることなどがあげられる。このDNAは原核生物のそれと同じように環状構造(プラスミド)をしていることなどが強い根拠となっている。

共生説

http://www.majordifferences.com/

共生説についてさらに知りたい人はマーギュリスの著作を当たってみよう。彼女は、共生こそが生物を飛躍的に進化させる原動力であると主張している。

細胞内共生ではない共生

共生とには2種類ある。ミトコンドリアなどのように細胞内に共生してその生物と一体化しているものもあれば(細胞内共生説)、腸内などを住処として共生しているものもある。後者の場合、別の生物として共生している。例えば、ヒトの腸内に生息する大腸菌は、共生しているが決してヒトそのものではない。

腸内細菌

http://www.anatomybox.com/

シロアリの腸内共生生物

シロアリの腸内に様々な共生生物が存在しており、簡単に観察することができる。

ハテナと藻類の共生

また、ハテナという生物は藻類を自身の細胞に共生させている。

ハテナ
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/

ハテナは分裂する際には、葉緑体を持つ個体と持たない個体に分かれる。葉緑体を持たない個体は、新たに藻類を捕獲し、葉緑体を共生させる。

ハテナ2
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/

ウミウシと葉緑体の共生

葉緑体を取り込み、光合成を行う動物もいる。

このウミウシは光合成を始めると動く必要がなくなり、じっとしているという。
研究者によれば食べられた藻の遺伝子が消化管の中で、葉緑体と共に吸収され、ウミウシ自身の遺伝子に組み込まれ、必要なタンパク質が葉緑体に供給され、9~10ケ月のウミウシの寿命のすべてを光合成し、作られた糖を養分として生きていると言う素晴らしい生き物だ。
http://blog.goo.ne.jp/

細胞とエネルギー

細胞内でのエネルギー

細胞では物質を分解してエネルギーを得たり、エネルギーを消費して物質を合成したりする。それらの反応全てを総称して代謝と呼ぶ。簡単なイメージとしては、食物を食べて分解し自分の体の一部として再合成するような反応である。代謝は酵素によって進められる。

代謝https://blog.nudjed.com/

代謝-同化・異化-

代謝には同化異化の2種類がある。同化は体に必要な物質を生産する反応である。光合成によるグルコース生産や、生体でのアミノ酸からのタンパク質合成などが例として挙られる。異化は食べたものなどを分化してATP(エネルギー源)を得る反応である。呼吸発酵などが例として挙られる。

代謝 同化 エネルギーを用いて、単純な物質から複雑な物質を合成する。CO2→グルコース(光合成)、アミノ酸→タンパク質など。
異化 複雑な物質を単純な物質に分解し、エネルギーを取り出す。呼吸や発酵など。
ヒトの代謝経路は、それぞれが密接に関わり合っており、超複雑化している。
代謝
ヒトの全代謝経路http://harvardmagazine.com/

ATPとは

ATP(正式名:アデノシン三リン酸)は様々な生命活動に用いられる物質である。ATPはアデニンリボースが結合したアデノシンと呼ばれる物質にリン酸が3つ結合している構造である。

リン酸の結合が切れるとATPは分解されてADPリン酸となり、エネルギーを放出する。エネルギーは様々な反応を行うために利用される。このリン酸の結合を高エネルギーリン酸結合と呼ぶ。ADPとリン酸は光合成や呼吸によって再びATPに戻る。

ATP + H2O ⇔ ADP + H3PO4(リン酸) + エネルギー

光合成

光エネルギーを用いて二酸化炭素からグルコースを生成する反応であり、葉緑体で行われる。葉緑体内にあるクロロフィルと呼ばれる光合成色素が光エネルギーをキャッチし、それによってATPが合成される。合成されたATPはグルコースを合成するのに使用される。

H2O + CO2 + 光エネルギー→ グルコース + O2

葉緑体

呼吸

酸素を用いてグルコース二酸化炭素に分解し、ATPを合成する反応である。ミトコンドリア細胞質基質で行われる。

グルコース + O2 → H2O + CO2 + ATP

細胞の構造

細胞内容物の分類

細胞は細胞質に分けることができる。

細胞
細胞質

核には、核膜、核液、染色体、核小体などがある。

核膜
核液
染色体
核小体

細胞質には、細胞質基質、細胞膜、ミトコンドリア、色素体(プラスチド)、中心体、ゴルジ体、リボソーム、リソソーム、小胞体、液胞などがある。植物細胞には核と細胞質の他に、細胞壁細胞含有物などもある。

細胞質 細胞質基質
細胞膜
ミトコンドリア
色素体(植物細胞のみ)
中心体
ゴルジ体
リボソーム
リソソーム
小胞体
液胞

核膜

核は核膜と呼ばれる2重膜に包まれている。核膜は細胞質である小胞体とつながっている。核膜には核孔(核膜孔)と呼ばれる穴が無数に開いている。核孔を通って様々な物質が移動する。

核液

核膜内には核液と呼ばれる粘度の高い液体が満ちている。DNAの材料や様々な酵素が含まれている。

染色体

核膜内には、染色体と呼ばれるDNAがコンパクトにまとまった塊が存在する。DNAがヒストンと呼ばれるタンパク質に絡まって構成されている。酢酸オルセイン溶液酢酸カーミン溶液などの塩基性色素によって染色できる。

核小体

核に1~数個存在する。rRNA(リボソームRNA)を作っている。

細胞質基質

様々な化学合成が行われる場所。ほとんどが水で満たされている。細胞質が動く原形質流動が見られる。

細胞膜

リン脂質が2重になったリン脂質二重層と呼ばれる構造である。膜には様々な膜タンパク質が埋め込まれている。

ミトコンドリア

独自のDNAを持ち、勝手に増えたりする。呼吸をしているのはここである。

ミトコンドリア

色素体(プラスチド)

葉緑体、有色体、白色体、アミロプラストなどがある。葉緑体は光合成の場である。葉緑体は独自のDNAを持っており、2重膜で包まれている。クロロフィルなどの光合成色素を持っている。

葉緑体
http://virtualplant.ru.ac.za/

有色体(下画像右)は花などの色素の合成、白色体(下画像左)は有機物の合成・貯蔵を行う。色や機能によって、葉緑体、白色体、有色体などに分けられるが、これらは固定されたものではなく、互いに分化ないし再分化することができるものである。

白色体
アミロプラストとは、白色体の一種であり、デンプン粒を含んでいる。栄養貯蔵の他、重力感知などに関わる。
アミロプラスト

中心体

動物細胞や藻類、シダ植物のみに見られる。中心粒と呼ばれる2個の筒が直角に位置し、細胞分裂の際に関与する。

中心体

ゴルジ体

細胞内の郵便局屋さん。細胞の分泌活動に関係し、どの物質がどこにいくのかを示す化学装飾を行う。

ゴルジ体

リボソーム

粗面小胞体に付着しているものもあれば、細胞質にもある。rRNA(リボソームRNA)とタンパク質から構成されている。mRNAからタンパク質を合成する。

リソソーム

細胞内消化を行う。そのための酵素を含んでいる。

リソソーム

小胞体

粗面小胞体滑面小胞体がある。粗面小胞体はタンパク質などの物質の移動通路となっており、滑面小胞体は脂質合成の場となっている。

液胞

植物細胞のみに見られる。内部は細胞液で満たされており、塩類、糖類、有機酸、アントシアニンなどが溶けている。浸透圧調節などにも関与する。

液胞

細胞壁

植物細胞のみに見られる。セルロースでできている硬い壁。

細胞含有物

デンプン粒(下画像)、脂肪粒などがある。

核の働きと構造

生命活動の中心は核

細胞の中心は核であり、核に含まれているDNAのデータを基にしてタンパク質を合成している。核なしでは、酵素も作れず、体の材料であるタンパク質も作れない。つまり、生命活動は、核を中心として細胞質との相互作用によって成り立っていると言える。

細胞

http://okmusic.jp/

カサノリの再生実験

カサノリは単細胞生物であるが、全長が5cmほどになる生物である。かさ仮根に分かれており、核は仮根に1つだけ存在する。カサノリを用いて次のような実験を行った。

カサノリ
http://oki-churaumi.jp/

  1. かさと仮根を切り取り柄だけを培養すると、1度目はかさが再生した。その後またかさを切断すると、かさは再生しなかった。
  2. 柄とかさを切り取って仮根だけを培養すると、柄もかさも再生することができた。
  3. B種の仮根に、A種の柄を結合させると、B種のかさを再生した(下画像左)。

上記4の実験からは、A種の柄を結合させても、B種のかさを再生したということから、かさの情報は仮根(B種)にあったと考えらえる。つまり、核がかさの形を決定させる要因となっていることが明らかになった。

アメーバの切断実験

また、アメーバを切断したところ、核がある方は生きて分裂を始め、核がない方が死んだ。このことから、核が分裂や生命維持に関わる役割があることが明らかとなった。

アメーバ
http://www.daiichi-g.co.jp/

核の構造

核は2重の核膜によって包まれている。核膜内には染色体と1~数個の核小体(下画像「Nucleolus」)がある。それ以外は核液(核質)によって満たされている。核質は粘度の高い液体で、DNA複製に必要な材料や、その他の活動に必要な酵素を多量に含んでいる。

核小体

 http://www.slideshare.net/

核膜が二重なのは、原核生物からの進化の過程で、DNAが細胞膜に包み込まれる形で核が形成されたためだと考えられている。