生物の特徴

顕微鏡の操作方法

なぜ顕微鏡が大切なのか

生物学は生き物とは何かを調べ理解する学問であり、そのためには正確かつ客観的な観察が不可欠である。顕微鏡が出現以前はおぼろげな生物観であったが、レーウェンフックの顕微鏡発明以来、人間の目には見えない微小世界があることが明らかになり、人類の生物観を大きく変えた。顕微鏡は生物学の発展そのものであり、その重要性からも試験でも良く出題される問題でもある。

http://dojou7.exblog.jp/

光学顕微鏡の構造

光学顕微鏡には以下の部位がある。

接眼レンズ

光学顕微鏡は接眼レンズと対物レンズの2つのレンズを用いて倍率を上げている。目で覗く方のレンズを接眼レンズと呼ぶ。

鏡筒

接眼レンズと対物レンズを繋ぐ筒である。

レボルバー

普通、対物レンズは1つの顕微鏡に複数個セットできるようになっている。レボルバーを回転させることで、使用する対物レンズを変えることができる。

対物レンズ

試料に近い方のレンズを対物レンズと呼ぶ。

ステージ

試料を置く台である。

ホルダー

プレパラートを固定する部品である。

しぼり

しぼりは入ってくる光の量を調節する。しぼりを絞ると視野は暗くなるが輪郭は明瞭になる。しぼりを開くと明るくなるが、輪郭がボンヤリする。

光源or反射鏡

光源である。古い顕微鏡は鏡がついており、光を試料へと反射させる。

鏡台

顕微鏡の一番下の台であり、位置を安定させる。

調節ネジ

ステージの高さを調節するネジである。

アーム

持ち運ぶ時に持つ部位である。

顕微鏡の使い方

以下の手順で行う。

  1. アームと鏡台を持ち、平行で安定した場所に顕微鏡を置く。
  2. 視野が均一な明るさになるように光源または反射鏡で光量を調節する。
  3. プレパラートをセットする。
  4. 横から見ながらプレパラートと対物レンズを近づける。その後、接眼レンズを覗きながらプレパラートを対物レンズから遠ざけつつピントを合わせる。これは、対物レンズにプレパラートを接近させてピントを合わせると、誤ってレンズとプレパラートが衝突する恐れがあるためである。
  5. ピントが合ったら観察しやすい像をプレパラートを移動しながら探す。その際、顕微鏡内の視野は左右上下が逆になっているため、移動方向と視野内の移動方向が逆になることを注意しなければならない。

低倍率から高倍率へ

ふつう、顕微鏡観察は低倍率から観察を始め、高倍率へとしていく。高倍率にすると、もちろん視野は狭くなる他、視野の明るさが低下する。そのため、高倍率で観察する際には十分な光源が必要である。なぜ視野が暗くなるかについては、次の画像が理解しやすい。低倍率では光の粒子がたくさんあるが、高倍率にするとその分光の粒子の数も減るため、視野が暗くなるのである。

http://shun-ei.jugem.jp/

視野を明るくするためには、反射鏡を凹面鏡にし、絞りを開くなどの操作を行う。凹面鏡では光を集中させることができる。

http://www.gose-koubou.com/

顕微鏡の操作-対物ミクロメーター・接眼ミクロメーターの使い方-

対物ミクロメーター・接眼ミクロメーターとは

対物ミクロメーターは接眼ミクロメーターの長さを測定するために用いられる。メモリは1mmを100等分した間隔(10μm)で刻まれている。

1目盛り = 0.01mm = 10μm

接眼ミクロメーターは接眼レンズ(レンズ手前)にセットする目盛りである。接眼ミクロメーターには等間隔の目盛りが刻まれている。

http://www.sci.keio.ac.jp/

接眼ミクロメーターの長さを測定する

接眼ミクロメーターの目盛り間は、倍率によって変化するため、接眼ミクロメーターの長さを測定する必要がある。以下の操作方法で測定する。

  1. 接眼ミクロメーターを接眼レンズ内に入れる。
  2. 対物ミクロメーターをステージにセットする。
  3. レンズを覗き、両方の目盛りが並行に重なるようにし、目盛りの一致点を2箇所探す。2箇所の目盛りをそれぞれ読み取り、接眼ミクロメーターの1目盛りの長さを求める。

接眼ミクロメーター1目盛りの長さは次の計算式で求まる。

例えば、レンズを除くと次のように見えたとしよう。対物ミクロメーターは大きく映っている線であり、接眼ミクロメーターは細かい数字がついた線である。接眼ミクロメーターはレンズの手前にあるため拡大されることはないが、対物ミクロメーターはレンズ越しに見るので拡大される。

http://www.makasaka.net/

接眼ミクロメーターの38と58の2点が対物ミクロメーターの線と重なっており、その間は接眼ミクロメーター20目盛りである。また、対物ミクロメーター6目盛り分(6×10μm)でもある。よって、接眼ミクロメーター一目盛り分は次の式となる。

10μm×6目盛り(対物) / 20目盛り(接眼)= 3μm

試料の大きさの測定

接眼ミクロメーター一目盛り分の長さが分かれば、対物ミクロメーターを除き、試料を観察する。そして、測定する部分の目盛り数を読み、一目盛り分の長さを掛けると試料の大きさを測定することができる。

http://www.shogakkan.jp/

ミトコンドリアと葉緑体の異質二重膜について

なぜ二重膜なのか

原核生物同士が共生して、ミトコンドリアや葉緑体になったという説を共生説(細胞内共生説)という。ミトコンドリアや葉緑体を真核生物の膜が包みこむようにして共生を果たしたと考えられており、それが二重膜の起源とされている。

共生説

https://sarahfinolbio.weebly.com/

ミトコンドリアの異質二重膜

共生説を支持する根拠として、ミトコンドリアの内膜と外膜の成分が違うことが挙げられており、これを異質二重膜と呼ぶ。

http://droualb.faculty.mjc.edu/

外膜にはポリンと呼ばれる膜タンパク質が大量にあり、分子量5000以下の分子が自由に行き来できるチャネルを形成している。一方、内膜は外膜とは対照的に不透過性で、物質を輸送するために輸送体が必要となる。マトリックスへのタンパク質輸送装置や、ミトコンドリア分裂・融合に関するタンパク質などが存在し、ミトコンドリアの全タンパク質の2割が含まれる。

https://ja.wikipedia.org/

膜成分の重量比としては次のような違いがある。

ミトコンドリア外膜 タンパク質:リン脂質=1:1(細胞膜と同じ)
ミトコンドリア内膜 タンパク質:リン脂質=3:1

葉緑体はシアノバクテリア由来の二重膜(かもしれない)

教科書においては、ミトコンドリア外膜・葉緑体外膜どちらも真核生物(寄生先)由来との扱いであるが、最近の研究によると葉緑体外膜・内膜ともにシアノバクテリア由来の同質膜であるらしい。

葉緑体の二重包膜は、現在はいずれも共生したシアノバクテリアの二重膜を起源とすると考えられています。真核生物がシアノバクテリアを細胞内共生で取り込んだ際、取り込まれたシアノバクテリアは宿主の食包膜に囲まれていたと想定されますが、共生の初期段階でこの食包膜は消失したと考えられています。

最近の研究から、葉緑体外包膜とシアノバクテリアの外膜は、いくつかの点で共通していることが判ってきました。例えば、外膜を構成するガラクト脂質や葉緑体へのタンパク質輸送に働く外包膜の輸送体(TOC複合体の一つであるTOC75 βバレルタンパク質)がどちらの膜にも共通して存在します。最近の分子系統解析から単系統であるということが示唆されている灰色植物の葉緑体も2重膜であること(これはその2枚の間にペプチドグリカンを持っていますのでシアノバクテリアの膜構造と基本的に一致します)も外膜がシアノバクテリア由来であることを示唆します。

https://jspp.org/hiroba/

しかし、このような知識は未だ一般化しているとは言えないため、当分の間はミトコンドリア外膜も葉緑体外膜も真核生物由来の膜であると覚えておいて良い。

動物の組織-神経組織-

神経組織の種類

神経組織は神経細胞(ニューロン)グリア細胞からなる組織である。

神経細胞(ニューロン)

神経細胞のことを別名でニューロンと呼ぶ。ちなみに神経線維とはニューロンから出ている長い突起(軸索)のことを指す。軸索の末端は、他の神経細胞などと密着している。

グリア細胞

別名を神経膠細胞(しんけいこうさいぼう)と呼ぶ。ニューロンを支持し、血管から得た栄養分をニューロンに供給する。ニューロンの軸索に巻き付いているシュワン細胞もグリア細胞の一種である。

origo

動物の組織-結合組織-

結合組織の種類

結合組織は、細胞間物質と細胞からなる組織である。軟骨組織、骨組織、血液、繊維性結合組織がある。名前の通り、からだの結合や組織を支持することを役割とする。

結合組織

軟骨組織

軟骨細胞とゲル状の軟骨基質によって構成されている。軟骨基質にはコラーゲンが多く含まれ、弾力があり、骨と骨の間のクッション(椎間円板など)として役立っている。

椎間板

骨組織

骨細胞と、カルシウム塩を多く含む硬骨によって構成されている。下画像は骨細胞である。

骨細胞

https://bigpictureeducation.com/

骨細胞は細胞質を長く伸ばし、互いに樹状に結合している。

骨には血管の通り道であるハーバース管が形成されている。下画像の骨細胞(紫色)に囲まれた中央の管がハーバース管である。

https://en.wikipedia.org/

血液

血管を埋める血球を多量に含んだ液体。

繊維性結合組織

コラーゲン繊維を多く含み、多くの組織の間に存在する。コラーゲンを産生する繊維芽細胞などが含まれている。皮膚の真皮靭帯などが例として挙げられる。

繊維性結合組織

動物の組織-筋組織-

筋組織の種類

筋組織は、筋繊維と呼ばれる収縮機能を持つ細胞からなる組織である。筋肉の種類として骨格筋、心筋、平滑筋内臓筋の3つがある。下で紹介している動画は一部閲覧注意有り。

筋肉

横紋筋と平滑筋

筋肉は横しまの模様(横紋)が見られるか見られないかで横紋筋平滑筋に分類されている。骨格筋、心筋は横紋筋(横しまが見られる)であるが、内臓筋は平滑筋(横しまが見られない)である。 

筋肉階層

骨格筋(横紋筋)

多数の細胞が融合した多核細胞である。自分の意思で動かせる筋肉(随意筋)である。見える所にある(?)筋肉は骨格筋である。

心筋(横紋筋)

単核細胞が集まった筋肉である。枝分かれした構造を持つ。自分の意思で動かすことができない(不随意筋)。 下動画はカメの心臓(閲覧注意)。

内臓筋(平滑筋)

紡錘の形をした単核細胞が集まった筋肉である。 不随意筋である。

 

動物の組織-上皮組織-

上皮組織の種類

上皮組織は、役割によって保護上皮、吸収上皮、腺上皮、感覚上皮の4つに分類することができる。また、上皮は構造によっても分類することができ、単層上皮(へん平、下図右中央)、単層上皮(円柱、下図右下)、絨毛上皮(下図左上)、多層上皮(下図右上)がある。

上皮

保護上皮

体表や血管の上皮細胞。保護する役割を持つ。皮膚の表皮などがある。下の画像では色が濃い上部が角層、その下のやや色が濃い部分が表皮である。

表皮

吸収上皮

微絨毛(細かい毛のような構造)を持っており、 表面積を大きくして物質を吸収しやすくしている。腸の上皮などがある。

絨毛

腺上皮

腺を形成している上皮。分泌機能を持っている。唾液腺、汗腺、乳腺などがある。

唾液腺

感覚上皮

感覚毛などを持ち、神経系に刺激を伝える役割を持つ。 聴細胞によって構成されている上皮(耳のコルチ器の上皮)などがある。下の画像では聴細胞が規則正しく並んでいる。 

chosaibou 

細胞の大きさ

細胞の大きさ、生物の大きさ

細胞と言えども大きさは千差万別で、ニワトリの卵も1つの細胞であるし、大腸菌などは肉眼ではとても見えない1つの細胞である。大体イメージとしては、どの生物も卵は体細胞に比べれば非常に大きく、真核細胞(体細胞)、原核細胞と並び、さらに小さい物質(細胞ではない)としてウィルスが挙げられる。

細胞の大きさ

単位について

-3乗ずつ増加していくことを覚えておこう。
mm = 0.001m (10の-3乗)
μm = 0.000001m (10の-6乗)
nm = 0.000000001m (10の‐9乗)

3mm  ヒキガエルの卵

180~300μm ゾウリムシ

140μm ヒトの卵

55μm ミドリムシ

60μm ヒトの精子

20μm ヒトの肝細胞

肝細胞

6~20μm ヒトの白血球

6~9μm  ヒトの赤血球

2~4μm 大腸菌

5μm 葉緑体(細胞小器官)

元生物であり、現在は真核細胞に取り込まれて細胞小器官となっている。

0.5~2μm ミトコンドリア(細胞小器官)

同じく、元生物であり、現在は細胞小器官である。

ミトコンドリア

300nm タバコモザイクウイルス(非生物)

ここからは生物ではなく、「物質」であるが、参考までに載せておこう。

タバコモザイク

200nm T2ファージ(非生物)

T2

 

100~200nm HIV(非生物)

HIV

80~120nm インフルエンザウィルス (非生物)

ウィルス8

15~20nm リボソーム(非生物)

原核細胞・真核細胞・ウィルス

原核細胞・真核細胞・ウィルスの違い

生物は細胞によって構成されている(細胞説)。また、細胞は2種類に分類できる。DNAが核膜に包まれていない細胞(原核細胞)と、核膜に包まれている細胞(真核細胞)である。

原核細胞・真核細胞

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また、タンパク質などにDNAやRNAが包まれた物質をウィルスと呼ぶ。ウィルスは増殖能力・代謝能力を持たないので、細胞ではない。つまり、ウィルスは生物学的定義では「非生物」といえる。

https://www.freepik.com/

原核細胞

原核細胞は非常に多様であるが、核膜を持たず、ミトコンドリアや葉緑体などを始めとする細胞小器官も持たないのが特徴である。微小管も持たず、細胞質流動を行わない。リボソームは存在する。原核細胞からなる生物を原核生物と呼び、生物数が非常に多く、真核生物の数十倍に達すると言われている。

大腸菌

http://ja.wikipedia.org/wiki/

本体のDNAの他に環状DNAであるプラスミドを有する。プラスミドは、他の個体と遺伝子を交換するのに用いる。また、バイオテクノロジーの分野では、このプラスミドに遺伝子を組み込んで、遺伝子組み換え大腸菌を作成したりする。

プラスミド
http://nepad-abne.net/

 大腸菌やシアノバクテリア(藍藻)などの細菌類が原核生物である。下画像はネンジュモ(シアノバクテリア)である。シアノバクテリアには多くの種類があり、そのうちの1つがネンジュモである(詳しくはこちら)。藻類の中でも、藍藻類(シアノバクテリアなど)のみが原核生物で、他(コンブなども藻類)は真核生物である。

siano

また、酵母菌は「菌」との名称であるが、細菌ではなく真核生物であるので混乱しないようにすること。

http://www.ip.kyusan-u.ac.jp/

真核細胞

核膜でDNAを保護している細胞を真核細胞と呼ぶ。真核細胞には様々な細胞小器官(「細胞の構造」参照)が存在する。また、原核生物以外の生物はすべて真核生物である。DNAが安定しているが、細胞分裂の速度は原核生物に比べて圧倒的に遅い。

細胞

ウィルス

細胞膜やタンパク質の殻に核酸(DNA or RNA)が入った物質(非生物)をウィルスと呼ぶ。DNAを他生物の細胞に導入し、自らの複製を作らせて増殖する。

 

下画像はエイズウィルスである。免疫細胞の司令官(ヘルパーT細胞)に感染し、HIVを引き起こす。

HIV

下画像はファージウィルスである。ファージはハーシーとチェイスの実験で使われた。大腸菌に遺伝物質を挿入する性質を使い、DNAが遺伝物質であることが判明した。

共生説

ミトコンドリアと葉緑体の起源

どの細胞もかつては原核生物であり、細菌に似たものだったと考えられている。原核生物同士が共生して、ミトコンドリアや葉緑体になったという説を共生説(細胞内共生説)という。リン・マーギュリスによって提唱された当初は批判を浴びたこの考えも、今では常識として受け入れられている。

共生説

http://sarahfinolbio.weebly.com/

共生の証拠として、ミトコンドリアや葉緑体は2重膜であるということ、2重膜の成分がそれぞれ膜ごとに異なっていること(異質2重膜)、独自のDNAを持っていることなどがあげられる。このDNAは原核生物のそれと同じように環状構造(プラスミド)をしていることなどが強い根拠となっている。

共生説

http://www.majordifferences.com/

共生説についてさらに知りたい人はマーギュリスの著作を当たってみよう。彼女は、共生こそが生物を飛躍的に進化させる原動力であると主張している。

細胞内共生(共生説)ではない共生

共生とには2種類ある。ミトコンドリアなどのように細胞内に共生してその生物と一体化しているものもあれば(細胞内共生説)、腸内などを住処として共生しているものもある。後者の場合、別の生物として共生している。例えば、ヒトの腸内に生息する大腸菌は、共生しているが決してヒトそのものではない。

腸内細菌

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シロアリの腸内共生生物

シロアリの腸内に様々な共生生物が存在しており、簡単に観察することができる。

ハテナと藻類の共生

また、ハテナという生物は藻類を自身の細胞に共生させている。

ハテナ
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/

ハテナは分裂する際には、葉緑体を持つ個体と持たない個体に分かれる。葉緑体を持たない個体は、新たに藻類を捕獲し、葉緑体を共生させる。

ハテナ2
http://www.biol.tsukuba.ac.jp/

ウミウシと葉緑体の共生

葉緑体を取り込み、光合成を行う動物もいる。

ウミウシ
http://blog.goo.ne.jp/

このウミウシは光合成を始めると動く必要がなくなり、じっとしているという。

研究者によれば食べられた藻の遺伝子が消化管の中で、葉緑体と共に吸収され、ウミウシ自身の遺伝子に組み込まれ、必要なタンパク質が葉緑体に供給され、9~10ケ月のウミウシの寿命のすべてを光合成し、作られた糖を養分として生きていると言う素晴らしい生き物だ。
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