神経細胞における重要なタンパク質
神経細胞では活動電位を起こすために重要な電位依存性チャネル、また興奮の伝達のための伝達物質依存性チャネルが存在する。また、他の細胞同様にペプチドホルモンやステロイドホルモンが作用するための受容体が存在している。
電位依存性チャネル
ニューロンの細胞膜には電位依存性チャネルが存在する。膜電位が変化すると、構造を変化させてNa+などを細胞内に流入させる。
伝達物質依存性チャネル
ニューロンの軸索末端にあるシナプスに興奮が伝わると、シナプスからは神経伝達物質が放出される。神経伝達物質は、隣接する細胞の伝達物質依存性チャネルに結合し、興奮を引き起こす。
内分泌とタンパク質
インスリンなどはタンパク質からできてるホルモンである。ペプチドで構成されているホルモンをペプチドホルモンと呼ぶ。ペプチドホルモンは親水性であるため、細胞膜を透過できない。そのため、細胞膜の受容体タンパク質と結合する。
Gタンパク質とGタンパク質共役型受容体
GDP(グアノシン二リン酸)やGTP(グアノシン三リン酸)に結合するタンパク質の総称をGタンパク質と呼ぶ。Gタンパク質はGタンパク質共役型受容体と結合している。シグナル分子(ペプチドホルモンなど)がGタンパク質共役型受容体と結合すると、Gタンパク質に結合していたGDPがGTPへと交換され、それによってGタンパク質が活性化される。その結果、活性化されたGタンパク質が酵素などと結合して活性化させたりする。
Gタンパク質とアデニル酸シクラーゼ
例えば、Gタンパク質によってアデニル酸シクラーゼと呼ばれる酵素が活性化された場合にはcAMP(サイケリックアデノシン一リン酸)と呼ばれる物質が大量に合成される。cAMPは他の酵素を活性化させたり、遺伝子を発現したり様々な役割を果たす。
例えば、アメフラシの鋭敏化の際には、セロトニン受容体と呼ばれるGタンパク質共役型受容体が使用される。セロトニン受容体は他ニューロンから分泌されたセロトニンと結合し、結果Gタンパク質が活性化され、さらにアデニル酸シクラーゼの活性が起こり、cAMPが大量に合成される。cAMPはプロテインキナーゼと呼ばれる酵素を活性化し、カリウムチャネルのリン酸化を促進する。すると、カリウムチャネルが開きずらくなり、活動電位が長く続き、神経伝達物質がニューロンから大量に分泌される現象が起こる。
鋭敏化についての詳細は下の記事をご参照ください。
学習行動-慣れ・鋭敏化・条件付け・刷り込み・試行錯誤・知能行動-
セカンドメッセンジャー
ペプチドホルモンが受容体タンパク質に結合すると構造が変化し、Gタンパク質などを通じて、cAMP合成酵素が活性化する。cAMPはATPから作られる物質であり、標的タンパク質に結合して様々な反応を起こさせる。細胞外の情報を間接的に細胞内に伝えることから、cAMPやカルシウムイオンなどはセカンドメッセンジャーと呼ばれている。
ステロイドホルモンと受容体
脂質でできたホルモンは、ステロイドホルモンと呼ばれる。ペプチドホルモンとは異なり、細胞膜を透過し、受容体タンパク質に結合する。受容体タンパク質は、DNAに結合して遺伝子発現を調節する。
[…] 細胞内のタンパク質-神経細胞、内分泌- […]
いつも拝見させていただいております。
“Gタンパク質とアデニル酸シクラーゼ”につきまして、
上記に”カリウムチャネルが開きずらくなり、活動電位が長く続き、神経伝達物質がニューロンから大量に分泌される現象が起こる。”とありましたが、生物の反応の大きさは以下の2点に依存するのでしょうか。
1.
刺激によって反応する神経細胞の数の多さ。
結果として複数の神経細胞が神経伝達物質分泌に関与する。
2.
一つの神経細胞の活動電位(Na+が流入)の時間が長く続く。
結果として一つの神経細胞が多量のの神経伝達物質分泌に関与する。
以上です。
コメントありがとうございます。
まさにその通りであると思います。
1. 神経細胞の多さ
2. 神経伝達物質の量
もう1つ、教科書などに掲載されているのは
3.活動電位の頻度
です。
この3つが反応の大きさに作用します。