ちょっとディープな生物の世界

酵素反応はどのように基質と出会うのか

酵素反応は毎秒1000個の基質を反応させる

酵素は、毎秒約1000個の基本分子を反応させる

Essential 細胞生物学より

この計算でいくと、酵素は1000分の1秒で、基質に出会い、生成物を放し、次の基質と結合しなければならない。どのようにして、こんなに素早く基質と出会えるのだろうか。

細胞内での物質衝突

酵素は、基質と衝突することによって反応することができる。分子は熱エネルギーによって絶えず振動しており、運動している。この運動があまりにも速いため、毎秒1000個もの基質と衝突することができる。

細胞内の物質は、衝突に衝突を重ねて、ランダムな方向へと動いていく。この状態をランダム歩行と呼ぶ。

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蛍光色素による測定

細胞内の拡散(エネルギーを使わない物質移動)がどれくらいの速さで行われるかは、蛍光色素などの小さな分子を細胞に注入し、その移動を観察することによって測定することができる。小さな粒子は、粘性のある細胞質基質を、水中とほぼ同じ速さで動き、10μmを0.2秒で移動する。

一方、酵素や巨大分子は拡散する速さは非常に遅く止まっているように見える。つまり、酵素が基質と出会う頻度は基質濃度に依存していると言える。

基質濃度と物質の衝突

0.5m mol/Lの基質濃度だと、ある酵素の活性部位に1秒間に50万回衝突することが計算上わかっている。また、0.05m mol/Lであると、その10分の1の5万回/1秒である。このことからも、酵素は1秒間に1000分子もの基質と反応できる理由を容易に想像することができる。

私たちが想像している以上に、熱運動はミクロの世界では非常に激しく行われ、衝突を繰り返していることがわかる。

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