ちょっとディープな生物の世界

胃の壁の細胞(胃壁細胞)はどのように塩酸を作るの?

水素イオンと塩化物イオンを合わせて作る

胃の中は塩酸を含む胃液が分泌されておりpH3と酸性状態です。塩酸は物質の結合を緩める働きを持ちます。胃の壁には壁細胞が存在しており、塩酸を合成しています。

下画像ではピンク色の細胞が壁細胞です。右下の壁細胞はペンで示されています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Parietal_cell

壁細胞には分泌細管と呼ばれる管があり、その管に向かって水素イオンH+プロトポンプ(ATP分解酵素)の作用で送られます。また、同じ管に向かって塩化物イオンClも排出されます。塩化物イオンはNaClにも含まれており、体中に普通に存在するイオンです。

分泌細管ではH+とCl-が含まれる水溶液、つまり塩酸HClが生じます。これらのイオンの輸送にはエネルギー(ATP)を必要とするため、壁細胞には多量のミトコンドリアが含まれています。

塩酸から胃を守るのはムチン

塩酸は強酸であるため、下手をすると胃を溶かしかねません。そのため、胃の表面には粘液細胞が存在し、ムチンを含む粘液が分泌しています。ムチンとはタンパク質に糖が多量に結合した糖タンパク質です。ムチンは水溶液にぬめりを持たせ、胃だけに限らず様々な部分(目、口腔など)を保護しています。

2 COMMENTS

池田剛士

「ムチン(mucin)」について

学術秘書
池田です。

「ムチン」は、動物性の成分です。
http://www.wakasanohimitsu.jp/seibun/mucin/

日本国内でのみ拡散していた、「植物や発酵食品にムチンが含まれる」とする
誤報の(「学術情報」という意味で)大本になっていた情報が訂正されました。

*
食品工業辞典(日本食品工業学会編、昭和54年第1版発行)の用語解説の訂正に
ついて
2020/07/30

当学会の前身である日本食品工業学会編の食品工業辞典の「むちん[ムチン]
」の解説について、現在の科学的知見から以下のように訂正させて頂きます。

(訂正前)

動植物より分泌される粘質物一般をいう。

(訂正後)

動物より分泌される粘質物一般をいう。
https://jsfst.smoosy.atlas.jp/ja/notices/71

では。

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株式会社はなもみ(法人番号:3050001008638)
代表取締役社長 池田剛士(携帯:09041347927)
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管理人

親切に教えていただきありがとうございました!

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