予防接種とは?
無毒化した細菌・ウィルスや、弱毒化した病原体や毒素を体内に注入することを予防接種と呼ぶ。無毒化・弱毒化した抗原はワクチンと呼ばれ、これを元に免疫記憶細胞を形成させ、2次応答によって感染を防いでいる。日本では予防接種法により、無料で接種することができる(インフルエンザ等の任意接種を除く)。
下画像はポリオワクチンを接種している子どもの画像。
予防接種の種類
インフルエンザウィルスや、日本脳炎、はしか、結核などが予防接種として有名である。インフルエンザは自身の表面のタンパク質(抗原)を変化させるので、毎年予防接種をしなければならない。また、鳥のみに感染していたインフルエンザが変異を起こし、人間に感染するようにもなり猛威をふるっている。
インフルエンザウィルス
ウィルスの表面には2種類の突起(タンパク質)がある。インフルエンザはこのタンパク質に突然変異が起こりやすく、毎年微妙に構造が変化するため、毎年予防接種を受けなければならない。
はしか(麻疹ウイルス)
麻疹ウイルスによる急性熱性発疹性のウイルス感染症をはしか(麻疹)と呼ぶ。高熱と全身の発疹が特徴的であり、脳炎との合併症状を引き起こすこともある。
日本脳炎ウィルス
日本脳炎は、日本脳炎ウィルスに感染した豚の血液を蚊を介して、日本脳炎ウィルスが人体に侵入することによって感染する。20%が死亡、50%が後遺症が残るなど、重大な病気である。
結核菌
日本では主に肺結核が8割を占める。結核菌が胚の内部で増えて、様々な炎症が起こり、肺か破壊されていき、呼吸する力が低下し、呼吸困難に陥って死亡することもある。
血清療法
抗原をウマなどの動物に注射して抗体を産生させ、血清を患者に接種して病原菌などを取り除く治療法を血清療法と呼ぶ。血清とは血液の血球や凝固因子などを取り除いたもので、免疫グロブリン(抗体)などのみが含まれている。蛇の毒や、破傷風、ジフテリアの治療方法である。
破傷風の血清療法を確立したのは北里柴三郎である。
破傷風
土壌中に棲息する破傷風菌 が、傷口から体内に侵入することで感染を起こす。破傷風菌は芽胞として自然界の土壌中に遍く常在しており、多くは自分で気づかない程度の小さな切り傷から感染している。ワクチンによる抗体レベルが十分でない限り、誰もが感染し、発症する可能性はある。
破傷風菌は神経毒を分泌し、脳や脊髄の運動抑制ニューロンに作用し、筋肉麻痺、強直性痙攣を引き起こす。あまりに強い痙攣なため、最悪の場合、激烈な全身性の痙攣発作や、脊椎骨折などを伴いながら死に至る。
ジフテリア
ジフテリア菌感染によって発症する上気道の粘膜感染症である。喉の痛み、犬がほえるような咳、筋力低下、激しい嘔吐などが起こり、気道が腫れ上がって、窒息死することもある。
mRNAワクチン(コロナウイルスワクチン)とは?
mRNAワクチンは、ウィルスのmRNAの一部を細胞に挿入して抗原タンパク質を細胞に作らせて免疫反応を起こさせるものです。これによって、本当のウィルスが侵入してきた時に素早く対応することができます。コロナウィルスに対するワクチンもmRNAワクチンです。
わかりやすく3D映像で解説されています(※YOUTUBE内でしか再生できまません)。
動画の内容は次の通りです。
- ウィルスの表面に「スパイク」と呼ばれるたんぱく質があり、このたんぱく質の遺伝情報を持つmRNAを体内に注射します。このmRNAを含む物質が「ワクチン」です。
- 体内に注射されたmRNAは細胞内に取り入れられます。そして、細胞内でコロナウィルスのスパイクが作られ、細胞膜に表出します。
- 細胞膜に表出したスパイクを「異物」として認識した白血球によって免疫反応が始まり、抗体が作られます。
- 一度コロナウィルスの抗体を作ってしまえば、本物のコロナウィルスが来た際に素早く反応できます(二次応答)。
こんにちは。
生物基礎では、DNAの項で『転写』『翻訳』、体液の項で『免疫』を扱うので、
ファイザー製の『mRNAワクチン』の説明も学習範囲を逸脱せずにできそうですね。
もし追記可能であれば、ご一考いただけると幸いです。
コメントありがとうございます。
mRNAワクチンについても追記しておきました。ご意見いただきありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。