基質レベルのリン酸化(解糖系)とは?
高エネルギーのリン酸を持つ化合物から、ADPにリン酸が渡されてATPが生成される反応を基質レベルのリン酸化と呼ぶ。
基質①酵素が作用する相手の物質。アミラーゼに対するデンプンなど。酵素基質。②呼吸に使われる物質。糖類や脂肪など。
例:解糖系での基質レベルのリン酸化
解糖系では、グリセルアルデヒドリン酸がADPにリン酸を渡し、ピルビン酸とATPを生じる。これはエネルギーの高い物質からリン酸がADPへ渡されるので、基質レベルのリン酸化である。
酸化的リン酸化(電子伝達系)とは?
ミトコンドリアの内膜にある電子伝達系で起こる一連のリン酸化反応を酸化的リン酸化と呼ぶ。電子伝達系では、NADHやFADH2が酸化されて(電子と水素を失って)、NAD+やFADとなる。その際に放出された電子は酸素と結合し、酸素原子は還元されて水分子となる。
一方、マトリックス内に侵入したH+は濃度勾配を形成し、ATP合成酵素を通る。その際のエネルギーを利用してADPにリン酸を結合させ、ATPを合成する。
基質レベルのリン酸化的リン酸化違いまとめ
まとめると次のようになる。
- 基質レベルのリン酸化:高エネルギーのリン酸を持つ化合物によるリン酸化
- 酸化的リン酸化:NADHやFADH2が酸化されて生じた水素の濃度勾配を利用したATP合成酵素によるリン酸化
[…] 基質レベルのリン酸化と酸化的リン酸化 […]
酸化的りん酸化の記載の中で、「一方、マトリックス内に侵入したH+は濃度勾配を形成し、ATP合成酵素を通る。」となっていますが、記載されている図にもあるように、マトリクス内ではなく、電子伝達により、膜を超えて、膜間空間に水素イオンは輸送され、ミトコンドリア内膜に水素イオンの電気化学的勾配が形成されます。その勾配を使って、水素イオンが、マトリクスに入る時にATP合成酵素が回転し、ATPが合成されます。
上記、記述は誤解を招く表現ですので、修正をお願いできないでしょうか。マトリックスに入った水素イオンが逆に外に出ていくような表現になっていますので。