同化

光合成とは?

光合成とは?

光合成とは光エネルギーを利用してATPを合成し、さらにATPのエネルギーを消費して二酸化炭素を取り入れて有機物を作りだす働きである。その際には酸素を放出する。地球上の殆どの有機物の根源となっている反応系である。

葉緑体4

2つの反応系

光合成は2つの反応系に分けることができる。チラコイド膜での反応とストロマでの反応(カルビンベンソン回路)である。

光合成
チラコイド膜での反応-光化学反応・光リン酸化-

非常に大雑把に言うと、H2Oから電子がクロロフィルによって引き抜かれ、クロロフィルは光エネルギーを吸収して電子を放出しやすい状態となり、電子を次々に物質に伝達していく。その過程において、ATPを合成していく反応である(光化学反応について)。光エネルギーを用いて電子にエネルギーを溜める反応を光化学反応、ADPとPからATPを合成する反応を光リン酸化と呼ぶ。

光化学反応
カルビンベンソン回路

非常に大雑把に言うと、二酸化炭素が吸収され、エネルギーを用いてグルコースを作り出す反応である(カルビンベンソン回路について)。

カルビンベンソン回路

光合成における反応まとめ

それぞれの反応系では複雑な化学反応が行われるが、全体をまとめると次の化学反応式となる。

光合成

光合成色素の分離(クロマトグラフィ)

クロマトグラフィ

物質の極性、溶解度の違い、大きさ、吸着力、質量、疎水性などの違いを利用して溶媒に溶かした物質を分離する方法をクロマトグラフィと呼ぶ。  紙繊維を利用して、溶媒に溶かした物質を分離する方法をペーパークロマトグラフィと呼ぶ。

クロマトグラフィ
実験方法

試料を細かく切り、抽出溶液(メタノールとアセトン)を少量加えて、すりばちですり潰す。
細いガラス管で抽出溶液を取り、濾紙に染みこませる。
濾紙の下を展開液(トルエン)に 浸し、上昇するのを待つ。

実験結果

ペーパークロマトグラフィでは光合成色素は原点から遠い順に、カロテン、キサントフィル、クロロフィルa、クロロフィルbに並ぶ。

Rf値

クロマトグラフィで展開した後、原点から溶媒の先端までの距離、試料の移動した距離との比をRf値と呼ぶ。Rf値は物質によって固有の値をとるため、大体の内容物が判明している場合、どの物質であるかを断定することができる。Rf値は次の式で求める。

Rf値 = 原点から試料中央までの距離 / 原点から溶媒前線までの距離

Rf

C4植物とCAM植物

C4植物

吸収したCO2を葉肉細胞C4化合物として取り込んだ後に、維管束鞘細胞のカルビンベンソン回路に送る植物。一旦C4化合物として取り込むため、植物内にはCO2のストックがたくさんあることとなる。
強光下では、光合成が盛んに行われ、周囲のCO2濃度が低くなり、普通の植物(C3植物と呼ぶ)は光合成速度が下がる。しかし、C4植物は一定した二酸化炭素をカルビンベンソン回路に供給することができ、生存に有利である。トウモロコシやサトウキビがある。

c4
濃い緑色が維管束鞘細胞、緑色が葉肉細胞http://cnx.org/contents/d0b6df3d-22b7-411f-8f28-5eeed0e1c82d@4/Photosynthetic_Pathways

c4
上が葉肉細胞。C4化合物としてCO2を貯蔵する。http://cnx.org/contents/d0b6df3d-22b7-411f-8f28-5eeed0e1c82d@4/Photosynthetic_Pathways

CAM植物

CAM植物は夜間にCO2を取り込み、C4化合物を合成する。昼間には、気孔を閉じて、貯蔵したC4化合物を用いてカルビンベンソン回路に供給する。これは、砂漠などの乾燥が厳しい状況下で生きるための仕組みである。サボテンやベンケイソウなどがある。

CAM
CAM植物、左のCO2取り込みは夜に行われる。http://www.uic.edu/classes/bios/bios100/lectures/ps02.htm

葉緑体

葉緑体の構造

葉緑体は最外層が二重膜の構造である。二重膜の中には、チラコイドと呼ばれる構造が多数存在している。チラコイドが重なっている構造をグラナと呼ぶ。チラコイド膜には膜タンパク質が埋め込まれており、そこで光化学反応が行われている。チラコイド以外の基質の部分はストロマと呼ばれており、カルビンベンソン回路の反応が行われている。光化学反応と、カルビンベンソン回路を合わせて光合成と呼ぶ。光合成では二酸化炭素と水からグルコースが合成される。

光合成色素

光エネルギーをキャッチする色素を光合成色素と呼ぶ。光合成色素にはクロロフィルa、クロロフィルb、カロテノイド(カロテン、キサントフィル)などの種類がある。植物の持つ光合成色素の大部分はクロロフィルで、マグネシウムを持つ色素である。

光合成色素

光合成に有効な波長

光の吸収率と光の波長をグラフに表したものを吸収スペクトルと呼ぶ。青紫色と赤色が良く吸収されている。また、光合成速度と光の波長との関係をグラフに表したものを作用スペクトルと呼び、青紫色と赤色の光で良く光合成が行われている。青紫色と赤色の光が光合成に利用されることはエンゲルマンの実験によって証明された。

chlorophyll absorption peaks
http://www.apsa.co.za/xenforo/threads/the-red-blue-ratio.10864/

エンゲルマン
エンゲルマンの実験。青紫と赤色のところに好気性最近が集まっている。http://www.apsa.co.za/xenforo/threads/the-red-blue-ratio.10864/

NADPH、NADHの違い

NADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)

簡単にいうと、電子と水素の運び屋さんである。「還元型」「酸化型」があり、電子や水素を運ぶ役割を持つ。酸化型NADP+では電子を受け取りやすく、還元型NADPHでは電子を放出しやすい。式にすると次のようになる。

NADP+ + H+ + 2e → NADPH

NADP_reaction

 

また、NADPHは補酵素とも呼ばれている。補酵素とは、酵素活性発現させる非タンパク質性の低分子の有機化合物であり、様々な種類がある。NADPHは脱水素酵素(物質から水素を引き抜く酵素)が働く手助けとして、水素と電子を受け取っている。

脱水素酵素

http://dehydrogenase.co.uk/

補酵素は、「酵素」と名付けられているが、酵素と比べて非常に単純な構造をしている。下画像はアミラーゼ(酵素)であるが、補酵素とは比べものにならないほど分子数も非常に大きい。

アミラーゼ

https://pdbj.org/

NADPHは肝臓での解糖系にも関わるが、最も有名なのは葉緑体での光合成に関わる働きである。

光合成

http://www.spring8.or.jp/

NADH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)

基本的な役割についてはNADPHと同じであるが、働く場所が異なる。NADHは主に好気呼吸での中心的な役割を担い、主にミトコンドリアでよく見られる。解糖系(細胞質気質)およびクエン酸回路(ミトコンドリア)での、糖あるいは脂肪酸の酸化によって、還元物質NADHが得られる。

NAD-_to_NADH

NADP+とNAD+の構造的違い

名称では「P」が付いているかいないかであるが、構造においてもP(リン酸)が付いているかいないかだけの違いである。下画像は側鎖Rを省略しないで記したNADP+とNAD+の違いである。
NADP+、NAD+