動物の反応と行動

皮膚感覚-感覚点(痛点、冷点、圧点、温点)

皮膚感覚と感覚点

皮膚感覚とは、熱い、冷たい、圧力、痛みの感覚のことを指す。ヒトの皮膚の表面には皮膚感覚を生じさせる細胞がモザイク状に分布している。この細胞が感覚を生じさせる領域を感覚点と呼ぶ。

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感覚点には熱さ、冷たさを感じる温点冷点、圧力を感じる圧点(触点)、痛さを感じる痛点がある。感覚点の分布密度は体の部位によって異なっているが、多くの部位で痛点が最も多い。

手の甲の感覚点の分布密度(1cm2当たりの数)は次の通りである。

  • 痛点 100~200
  • 圧点 20~25
  • 冷点 6~23
  • 温点 0~3

感覚点の分布密度を確かめる実験

圧点の分布密度を確かめる実験として、2点を同時に刺激して違いがわかるかどうかを調べる方法(触二点閾の実験)がある。

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圧点の密度が多い手のひらでは、2点をかなり近寄らせないと1点と勘違いしない。しかし、背中などは2点がある程度距離が離れていても、1点と勘違いしてしまう。これは圧点の密度の違いによるものと考えられる。

感覚点の仕組み

例えば、痛点は衝撃によって周囲の細胞が死滅することによって放出される物質が、痛点の細胞を刺激し、活動電位を発生させている。他の感覚点の細胞においても、それぞれの刺激がスイッチとなり、活動電位が発生する。

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指先を針で刺したとします。そのとき、刺した部分の細胞は壊れてしまいます。すると、その細胞から、カリウムイオンやセロトニン、アセチルコリンといった「発痛物質」が出ます。この物質が知覚神経の末端(自律神経終末)に達すると、その刺激は今度は電気信号という形に変化して、「脊髄」と「視床」という部分を経て、大脳皮質の「体性感覚野」に届きます。この体性感覚野では、痛みの信号がどこから来たかによって、それぞれに対応する神経細胞が反応します。こうしてはじめて「右手の人差し指が痛い!」などの感覚が生じるのです。

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興奮の伝導・伝達時間の計算

神経筋標本を使った実験

図のように神経が筋肉と繋がったまま取り出した標本を神経筋標本と呼ぶ。

この神経に閾値以上の刺激を加えると、活動電位(興奮)が発生し、興奮が伝導する。神経末端ではシナプスから筋肉(神経筋接合部)への伝達が行われる。その後、しばらくしてから(数ミリ秒)、筋肉の収縮が始まる。以上のことをまとめると、筋収縮には次の3つの区切りがあることがわかる。

  1. 神経繊維を興奮が伝導する時間
  2. シナプスから筋肉へ興奮を伝達する時間
  3. 刺激を受けた筋肉が収縮までに要する時間

伝導時間の計算

伝導時間の計算は異なる二点を刺激することによって計算することができる。神経のA点(筋肉から5mm離れた位置)と、B点(筋肉から15mm離れた位置)に刺激を与えた。

すると次の結果が得られた。

  1. A点に刺激を与えた場合は、0.5ミリ秒後に筋収縮が起こった。
  2. B点を刺激した場合には0.7ミリ秒後に筋収縮を起こった。

考え方

5mm離れたA点を刺激した際に、0.5ミリ秒後に筋収縮が起こったからと言って、「5mm ÷ 0.5ミリ秒」の計算をしてはならない。前述した通り、この0.5ミリ秒の中には、次の3つの時間全てが含まれているからである。

  1. 神経繊維を興奮が伝導する時間(①)
  2. シナプスから筋肉へ興奮を伝達する時間(②)
  3. 刺激を受けた筋肉が収縮までに要する時間(③)

よって次のように考えることができる。

A点を刺激した場合:0.5ミリ秒 = 5mmを伝導する時間+②+③・・・(A式)

B点を刺激した際も同様に考えることができる。

B点を刺激した場合:0.7ミリ秒 = 15mmを伝導する時間+②+③・・・(B式)

B式からA式を引いてみると次の式が得られる。

0.2ミリ秒 = 10mmを伝導する時間

よって、伝導速度は次のようになる。

10mm / 0.2ミリ秒 = 50mm/ミリ秒

つまり、伝導速度を求めるためには、2点を刺激して、2点間の距離を、2点を刺激した際の反応の時間差で割れば良いといことである。

伝導速度 = 2点間の距離 / 反応時間の差

伝達にかかる時間を求める

上記と同じ問題の場合、どのようにして伝達にかかる時間を求めれば良いだろうか。このままでは求めることができないので、問題文には次のような実験が追加される。

直接筋肉を刺激すると0.3ミリ秒後に筋肉が収縮した。

直接筋肉を刺激して筋肉が収縮するまでに要した時間は次の3つの時間のうち、③に値する。

  1. 神経繊維を興奮が伝導する時間(①)
  2. シナプスから筋肉へ興奮を伝達する時間(②)
  3. 刺激を受けた筋肉が収縮までに要する時間(③)

A点の場合で考えてみよう。上記の①の時間については、先程の問題より伝導速度は50mm/ミリ秒とわかっているので、A点から筋肉まで5mmあるから、所要時間は0.1ミリ秒である。

①は0.1ミリ秒、③は0.3ミリ秒、全体の時間は先程の問題文より0.5ミリ秒なので、②の時間は次のようになる。

②の時間 = 0.5ミリ秒 – 0.1ミリ秒 – 0.3ミリ秒

②の時間 = 0.1ミリ秒

様々な動物の目-カメラ目・単眼・複眼-

動物の目の3つの種類

動物の目の形態は大きく分けて、カメラ目単眼複眼の3種類がある。

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カメラ目とは

カメラ目とは、カメラのようにレンズがあり、像を映す網膜を持つ構造を持っている目のことである。レンズの厚みを変えたり、魚類などはレンズ自体を移動させたりして、ピントを合わせることができる。

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脊椎動物が持つ目はカメラ目であり、私たちヒトの目もカメラ目である。

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タコ・イカのカメラ目

タコやイカもカメラ目を持っているが、脊椎動物のカメラ目とは異なる網膜の構造を持つ(下図右)。脊椎動物は視神経が眼球内側から外へ出るために盲斑が生じるが、タコやイカは視神経が眼球外側から脳へ直接伸びているため、盲斑が存在しない。

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単眼とは

光受容細胞が杯状の構造を形成し、その外側にレンズを持つ目である。単眼は、レンズと網膜を持っているが、ピント調節や絞りなどの機能はない。環形動物、多くの軟体動物、節足動物が持っている。

下画像左上は複眼であるが、右上の1つだけ拡大されたものが単眼(個眼)である。

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生物によっては、単眼・複眼どちらも持っているものもいる。

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複眼とは

複眼は単眼が複数集まった目である。

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複数の目で同じ景色を見ているため、物の動きを捉えることに適している。その一方で、対象を精細に見る上では限界がある。

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眼の起源と進化の歴史

眼の起源は、単細胞生物が持つ眼点のようなものだと考えられている。眼点は光を受容するタンパク質を持つのみである。

ミドリムシ

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その後、様々な変化を遂げてカメラ目へと進化していった。下画像は進化の様子を示している。

眼の進化の主要な段階 a)光受容細胞が体表に露出している。周りの明るさを感知できる。 b)くぼみができることで光が差す方向を感知でき、また細胞は損傷から守られる。カサガイはこの眼を持つ。 c)ピンホール眼はオウムガイなどで見つかる。光の方向はよりよく感知でき、入射した光は像を結ぶ。 d)眼球が閉じ、液体で満たされることで網膜が守られる。ゴカイの眼。 e)シンプルなレンズは鮮明な像を結ぶのに役立つ。アワビがこの眼を持つ。 f)可動型レンズを持つより複雑な眼。ほ乳類を含む多くの脊椎動物が持つ。

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ミツバチのダンス-方向・距離・匂い-

ミツバチのダンスとは

ミスバチは巣箱の垂直面でダンスを行い、餌場の方向と距離を伝えることが知られている。

ダンスの種類

ミツバチは餌場が20~30mの近くにある時には、円形ダンスを繰り返す。

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また、餌場が100m以上遠くにある時には、8の字ダンスを繰り返す。

8の字ダンスの直進部分は、巣箱から見た太陽の方向を基準にした時の餌場の方向をしている。また、巣箱の垂直の板の表面で場合も、太陽の方向を巣箱の垂直上方向に置き換えることもわかっている。

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ミツバチダンスと餌の種類

レンゲの花の蜜や花粉を持ち帰って円形ダンスをするミツバチから情報を伝えられた他のミツバチは、巣箱周辺のレンゲ畑のみから蜜や花粉を採取し、他の花には集まらない。つまり、ダンスには位置情報だけでなく、付着した蜜や花粉から餌場の花の匂いも伝えられていることがわかる。

このことは、人工的なレンゲの花を小鉢に入れ蜜を吸わせた後に、他の花を入れた小鉢も置くという実験をすることによって簡単に確かめることができる。実際に、情報を受けた後続のミツバチたちはレンゲの花のみに集まる。

ダンスの速度

餌場までの距離が遠いとダンスの速さが遅くなることが知られている。しかし、これは正確な距離ではなく、その個体の疲労度によってダンスの速度が変化するだけである。

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活動電位の2つのグラフ-電極が細胞内外・細胞外外-

活動電位とは

活動電位とは、神経細胞が興奮する際に発する電位変化のことである。活動電位はNa+チャネルが開くことによって起こる。Na+チャネルが開くと、細胞内外の濃度勾配と電気勾配(細胞内は負)によってNa+が細胞内に流入する。Na+が流入し膜電位の負電荷が減少すると、さらなるNa+チャネルが開き、さらに大きなNa+の流入が引き起こされる。その結果、膜電位が逆転し、内側が正の電位となる。これを活動電位と呼ぶ。

よく見る活動電位のグラフ

始めに、測定電極が細胞内・基準電極が細胞外にある下図のような装置を考えてみよう。なお、よく誤解を招くのであるが、細胞外に置く基準電極は正に帯電している細胞膜近傍ではなく、ある程度離れた所にあり、そこでは電位の偏りはない(0mV)。

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この場合、基準電極に比べて、細胞内は電位が低いので活動電位が起こっていない間は約-70mVの値を示している。活動電位が発生すると、測定電極では細胞内が正になるので、測定される電位が上昇する。

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電極が2つとも細胞の外にある場合のグラフ

下図の測定電極・基準電極が2つとも細胞の外(細胞膜近傍)にある場合、上記の活動電位とは異なる形のグラフを得ることができる。下図では基準電極を左、測定電極側を右に置き、左から活動電位が発生してくることとする。

活動電位が電極に到達していない場合、細胞膜外側はどちらも正であり、両電極の差はないので電位は0mVを指す(下図a)。

活動電位が基準電極に到達すると、基準電極近傍の膜電位が負になる。しかし、基準電極はあくまで基準であるため、相対的に見ると、測定電極側の電位が上がったように見える。よって、測定された電位は正の値を示す(下図b)。

活動電位が測定電極を通過すると、細胞膜電位が再び正に戻るため、両極の電位差はなくなり0mVに戻る(下図c)。

そこに活動電位が測定電極の方から発生すると、まず測定電極近傍の細胞膜電位(外側)が負になる。そうすると、基準電極に比べて電位が下がるので測定された電位は負の値を示す(d)。

活動電位が測定電極を通り過ぎると、両電極間で電位差がなくなる(どちらも正)になるので、測定される電位は0mVになる(下図e)。

上図eで示された活動電位のグラフは、一見活動電位後に脱分極し、また回復しているグラフ(下図)と勘違いされやすい。電極の置く位置が異なるため、上図と下図のグラフの示す意味が全く異なることに注意しよう。

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髄鞘と神経鞘、シュワン細胞とオリゴデンドロサイトの違い

軸索を支持する細胞たち

ニューロンの軸索は普通、シュワン細胞オリゴデンドロサイトなどの支持細胞によって覆われ、栄養分などが補給されている。これらの支持細胞を総称してグリア細胞と呼ぶ。

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髄鞘と神経鞘の違い

髄鞘とは、シュワン細胞やグリア細胞が軸索に何重にも巻きついた構造のことを指す。一方、神経鞘とは、単純に軸索に支持細胞がまとわりついたものを指し、層構造を成していなくとも良い。下画像ではどちらも神経鞘であり、下は層構造をなしているので髄鞘である。

muzuiyuzui

髄鞘を持つものもは有髄神経線維であり、髄鞘を持たないもの(神経鞘は持つ)は無髄神経線維と呼ぶ。無髄神経線維というと、よく裸の神経線維の絵が描かれているが、実際は下画像のように無髄神経線維もしっかりと支持細胞(神経鞘)に包まれている。

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シュワン細胞とオリゴデンドロサイトの違い

シュワン細胞もオリゴデンドロサイトもどちらもグリア細胞と呼ばれる支持細胞の一種である。グリア細胞には幾種類(ミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、上衣細胞、シュワン細胞、衛星細胞)かあるが、その内、髄鞘を形成するのはシュワン細胞とオリゴデンドロサイトに限られている。

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シュワン細胞は末梢神経系の神経に髄鞘を形成し、一方、オリゴデンドロサイトは中枢神経系の神経での髄鞘を形成している。それがシュワン細胞とオリゴデンドロサイトの大きな違いである。

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シナプス後電位の加重

シナプス後電位の加重

1つのニューロンの樹状突起は、多数のニューロンとシナプスを形成している。ニューロンは普通、1つのシナプスからの伝達による興奮では、軸索において活動電位は発生せず、いくつかのニューロンからの興奮の伝達または連続した興奮の伝達によって活動電位を発生させる。このように、1つのニューロンに対して、複数のニューロンからの興奮や、興奮の伝達回数を増やして、膜電位を上昇させることを加重と呼ぶ。

運動ニューロンにおいては、細胞体から軸索が出てくる部分は軸索小丘と呼ばれる。運動ニューロンでは、ここに電位依存性ナトリウムチャネルが高密度に集まっており、閾値を超えた場合に軸索小丘において活動電位が発生する。下画像では軸索(青)の付け根が軸索小丘である。

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空間的加重

複数のシナプスから一斉に刺激を受けた場合、それらの刺激による膜電位の変化は加算される。これを空間的加重と呼ぶ。別々に刺激を受けても閾値を超えないため、同時(極短時間)に刺激を受ける必要がある。下画像では右から2番目の図である。

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時間的加重

単一のニューロンによって短時間に繰り返し刺激を受けた場合でも、膜電位の変化は加算される。これを時間的加重と呼ぶ。右から1番目の図では、E1から間隔を開けて興奮が伝わっており、活動電位発生には至っていない。しかし、右から2番目の画像では短時間にE1から興奮が伝わったため、閾値を超え、活動電位が発生している。

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興奮性シナプスと抑制性シナプス

シナプスには興奮性と抑制性があり、それぞれが協調しあって、閾値に達するかしないかを調節している。下画像の右から1番目では、E1から興奮が伝達されているが、Iからの抑制性シナプス後電位によって電位が下げられ、活動電位が発生しにくくなっている。

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活動電位が起こる仕組み

活動電位が起こる仕組み

活動電位はNa+チャネルが開くことによって起こる。Na+チャネルが開くと、細胞内外の濃度勾配と電気勾配(細胞内は負)によってNa+が細胞内に流入する。Na+が流入し膜電位の負電荷が減少すると、さらなるNa+チャネルが開き、さらに大きなNa+の流入が引き起こされる。K+漏洩チャネルからはK+が細胞外へ流出しているが、Na+の流入に比べれば僅かなものである。

その結果、膜電位が逆転し、内側が正の電位となる。これを活動電位と呼ぶ。また、この現象を脱分極と呼ぶ。下画像では②の期間である。

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ピークと再分極

細胞内の膜電位が30mVほどにまで達すると、Na+チャネルが閉じ、膜電位の上昇が止まる。その直後に電位依存性K+チャネルが開き、細胞外へK+が流出する。K+が流出すると、正の電荷を持つ粒子が細胞外へ流出するため、細胞内の膜電位が下がる。これを再分極と呼ぶ。

過分極

細胞外へK+が流出し続け、一時的に細胞内の膜電位が-70mVを下回る。これを過分極(下画像の④の期間)と言い、過分極の期間は活動電位が起こりづらくなっている。また、Na+チャネルも一旦閉じると少しの間は不活性化され、不応期がある。この不応期は、活動電位を一方向にのみ伝えるために重要である。

電位依存性イオンチャネルとは

電位依存性イオンチャネルとは、電位の変化によって閉じたり開いたりを制御されているチャネルである。電位依存性K+チャネル電位依存性Na+チャネル電位依存性Ca2+チャネルがある。

その仕組みは簡単で、チャネルの一部が+の電荷を帯びており、正や負に引き寄せられることによってチャネルの構造が変化する、というようなものである。もちろん、ここに人工的に電気を流してもこのセンサーを動かすことができる。

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局所電流と伝導

活動電位が生じると、細胞内が+に、細胞外が-へと変化する。すると、活動電位が生じた部位と、生じていない部位とでは電気的なアンバランスが生じ、電荷を持った粒子の移動が起こる。

ここでは、主に細胞内に流入した大量のNa+について考えてみよう。Na+は濃度勾配的・電気的に引き寄せられて、周囲へと拡散していく。すると、周囲の細胞内の膜電位が上昇し始める。電荷を持った粒子の移動のことを電流と呼ぶので、ここで生じる電流には局所電流という名前がつけられている。その後、Na+はナトリウム・カリウムポンプによって細胞外へ排出される。

局所電流が生じると、電位依存性Na+チャネルが開き、活動電位が生じ始める。このような原理で次々と隣のチャネル、隣のチャネル、というように活動電位が伝わっていく現象を伝導と呼ぶ。

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静止電位が起こる仕組み

静止電位とは?

神経細胞(ニューロン)が活動していないときの膜電位を静止電位と呼ぶ。膜電位とは、膜の極近傍の電荷の偏りによって生じる電位のことであり、神経細胞の静止時には-70mVに保たれている。

膜を介して電位が生じる仕組み

静止電位はある特定の物質のみを透過できる膜によって起こる。。例えば、ある容器の真ん中にカリウムイオンだけを通せる膜(しきり)を作ったとしよう。左を容器1、右を容器2とする。

①同じ濃度の塩溶液を入れてみる。

あるカリウム塩(K+、A-)の溶液を容器1,容器2どちらにも同じ濃度で入れてみる。K+は左右へ自由に行き来できるが、濃度差がないのでK+の偏りは生じない。

②異なる濃度の塩溶液を入れてみる。

あるカリウム塩(K+、A-)の溶液を容器1,容器2に入れる。その際、容器1へは容器2の10倍の濃度の溶液を入れる。すると何が起こるだろう。入れた直後は電位差は0である。しかし、容器1・容器2の間に濃度勾配があるために、濃度の高い方から低い方へとK+が移動する。もちろんA-は移動できない。

正の電荷を持つK+が容器1から容器2へ移動し、負の電荷を持つA-は移動できないため、容器1で負の電荷を持つA-が多く存在することになる。その結果、電気的なアンバランスが生じ、膜を境に容器1側では電気的に負の状態になる。また、容器2側では電気的に正の状態になる。

膜を境にした電気的アンバランスは、お互いに引き合う力を持っている。K+の一部は電気的に負である容器1に引きつけられ、容器1に戻る。濃度勾配による容器1から容器2へのK+の移動と、電気的な力による容器2から容器1へのK+の移動が調度釣り合った時を、平衡電位と呼ぶ。細胞においては、これが静止電位である。

静止電位が起こる仕組み

細胞膜を境にして、細胞内ではK+、細胞外ではNa+の濃度が高くなっている。これは、ナトリウム・カリウムポンプがATPを使ってそれぞれのイオンを輸送しているためである。

K+漏洩チャネルによるK+の移動

細胞膜には様々なチャネルがあるが、静止時に開いているのはK+漏洩チャネルである。ここからは濃度勾配に従って、K+が細胞外へ流出する。正の電荷を持つ粒子が細胞外へ移動するため、細胞内は電気的に負になる。

濃度勾配と電気的引力によるK+の移動

また、電気的なアンバランスにより、K+が細胞内に引き寄せられる移動も起こる。このK+の濃度勾配によって拡散しようとする力と、電気的に引き寄せられる力が釣り合った時の電位を静止電位と呼ぶ。

-70mVとは?

静止電位は-70mVである。これは細胞外へ基準電極を置き、細胞内に電極を指したときに得られる値である。基準電極は細胞膜よりも離れた細胞外であり、そこを0mVとしている。細胞膜近傍の外側に基準電極を置くと、基準電極の電位の変化(細胞膜外側は+である)が生じ、グラフが変形してしまう。

 

静止電位によって生じる正・負はあくまで細胞膜近傍であることも頭に入れておかなければならない。細胞膜近傍以外では、イオンの差が殆ど生じること無く正負の電荷は釣り合っている。正負の電荷に偏りが生じるのは、細胞膜の極近傍のみである。

ネルンストの式

静止電位-70mVという値は、実際に測定して求められたものであるが、イオン濃度がわかれば計算によって導くことができる。この式はネルンストの式と呼ばれるものである。

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R、T(室温で20℃とする=293K)、F、zは定数なので、RT/zFについては一定の値となる。

RT/zF = 26.7

ln は e を底とする対数(自然対数)のことである。ln x=logx である。また、常用対数から自然対数への変換は 2.303 倍すれば得ることができる。なので次の式となる。

2.303×26.7×log [K+]1/[K+]2 = 58 log [K+]1/[K+]2

[K+]1、[K+]2には膜に隔てられた2つの異なる溶液の濃度を代入する。細胞膜を介したK+の濃度は下画像の通りである。

http://csls-db.c.u-tokyo.ac.jp/

細胞内を130mM、細胞外を5mMとして、計算式に当てはめてみると、-80mVとなる。この値が実測値-70mVと異なるのは、静止電位はK+のみで決定するわけではないからである。Na+やCl-などのイオンの影響を加味して計算する式(ゴールドマンの式)を用いると、-70mVの数値を得ることができる。

この式で導入されているPという係数は、それぞれのイオンに対する透過係数である。透過がなければ0であり、透過しやすければ値が上昇する。

 

反射

反射とは

大脳を介さずに行う無意識の行動(反応)を反射と呼ぶ。大脳の代わりに情報処理を行う脊髄、中脳、延髄は反射中枢と呼ばれる。

反射弓

反射は、受容器→感覚神経→反射中枢(介在神経)→運動神経→効果器の通路によって起こる。この通路を反射弓と呼ぶ。

反射弓

脊髄反射

脊髄が反射中枢として使用される反射である。膝蓋腱反射屈筋反射がある。

膝蓋腱反射

ヒザ下を叩くと足が前に跳ね上がる反射である。受容器は筋紡錘と呼ばれる筋肉にある神経が絡みついた繊維である。筋紡錘は「筋線維が引き伸ばされましたよ!」という刺激をキャッチする役割を持つ。膝蓋腱反射は介在神経を必要とせず、感覚神経が運動神経と直接繋がっている。

筋紡錘

http://chousei58.com/?p=50128

膝蓋腱反射は下動画のように簡単に起こすことが可能である。

屈筋反射

熱いもの等に触れた時に思わず手を引っ込める反射である。膝蓋腱反射と異なり感覚神経と運動神経の間に介在神経を必要とする。下画像では、右半分が屈筋反射の刺激通路を示している。

反射

中脳反射

中脳が反射中枢として使用される反射である。立ち直り反射、瞳孔反射がある。

立ち直り反射

倒れそうになった時に頭部を水平に戻して体制を立てなおそうとする反射である。

立ち直り反射

瞳孔反射

光の量によって瞳孔を収縮させたりする反射である。死亡しているかどうかの判定に用いられる(脳幹が機能していなければ確実に死んでいるため)。

延髄反射

延髄が反射中枢として使用される反射である。食べると唾液が分泌される唾液反射がある。

 唾液